走るってことの意味。
まだ全然理解してない。
けど、これだけは言える。
私、今、すごく楽しんでる!!
グンっと彼女より前へ出た。
そして、胸を突き出しながらゴールラインを走り抜けた。
湧き上がる歓声。
私が優勝したことを伝えるアナウンスが流れる。
優勝したんだ……!
スタンディングオベーションに包まれた。
達成感が押し寄せてくる。
佐野さんは、とても不機嫌な様子だった。
しかめっ面でマネージャーに当たり散らかしていた。
さぞ悔しかっただろう。
不正したにも関わらず、負けてしまったのだ。
けれど、自業自得だと思う。
ズルをしてまで勝とうとする彼女に勝利の女神が微笑みかけるわけなどない。
どちらにせよ私は優勝を手にすることができた。
今日まで頑張ってきて本当によかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。