第13話

隠しきれない想い
658
2018/08/14 01:37
授業中はぼーっと過していた。
問題を当てられることもなく、ただ何も頭に入らなかった。

今更ながら、蓮理のことを思い出す。
会いたいと思うわけじゃない。むしろ今どうやって会えばいいか分からない。

でも会わないと、会って話さないと、あの時どういう気持ちでやったのか、分からないままだと思う。


そう思ったら早かった。


昼休み。
パパっとお弁当を食べて、教室を出ていった。
隣のクラスのドアを開けて、蓮理!!
と呼んだ。

蓮理は驚いていたけどこっちに来てくれた。


「なに?」

「話がある…ってゆうか…聞きたいこと?があるの。」

「分かった。階段下なら人が来ないだろ。行こう。」

「うん、。」


手を引っ張られながら黙々と歩く。
その手には力が入っていた。



日も当たらない暗い階段下。
日中でも夜のように暗くて、相手の顔が見えるのでやっとだ。


「で?」

「あっ…えっと…」

「昨日のこと、か。」


ドキッとした。
全てを読まれているようなきがして。


「あれは…なんで…?」

「言わなかったっけ、した時に。」

「…??」

「ぶはっ笑笑」


!?


「忘れたのか、あーでも仕方ない、か。あんなのされたら全部吹っ飛ぶよな」

「え…っと?なにを言って…」

「ずっとお前が好きだーって…言ってたんだけど…。」

「あれ…そんな…こと言ってたんだ」

「そ。覚えてないんならもう1回言わせて。」



「俺はお前が好き。」



「理性が保てなくなったのが何よりの証拠だっつーの。」

「嬉しい…でも…」

「そんな気はしてたよ。俺らは幼馴染み。分かってるよ。」

「そう…だね。」

「いつしか幼馴染みでは終わらせたくなくて、ずっとお前の隣にいたくて、いつもその笑顔の素になりたかった。でも、もうそれも…」


私はうつむくことしか出来なかった。
幼馴染みがこんな顔をして、こんなことを思っていたなんて知らなかったから。


「最後に触れさせて」


たった一言。
私の返事を待たずして抱きしめてきた。
その力はさっき手を引っ張るよりも強かった。小さい頃、泣いてばかりのチビが、いつの間に私より大きくなって、私を包み込むようになったんだ。

蓮理…。


「羽音…」

「…。んっ、。あっ待って…蓮…理…!!」

「あ、、、悪かった。」


私を抱きしめたまま、蓮理は聞いてきた。


「お前、保健室にいたろ。?」

「え、なんで知って…」

「いや俺も足やっちゃってさ、保健室行った。お前…坂川のやつとそういう関係だったんだな。」

「??? そういう関係って何?」






「されてたじゃん──」





私は知らない事実を知ることになる。

プリ小説オーディオドラマ