第8話

7話
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2018/11/05 14:57
「……重……」


40人近いクラスメイト達のノートの山を抱え階段を下る。
足元が見えないため一つ一つ視認しながら下りていたら、不意にノートの山が軽くなった。
何事かと顔を上げると。


「ちわっす!手伝いますよ!」


笑顔の片桐くんが斜め前にいて、割と多い量のノートを両手で持っていた。
私は一瞬固まって、自分の腕の中のノートを見た。たくさん積み重なっていたそれは今、半分くらいの量まで減少している。

……片桐くんが半分持ってくれたのか。


「ありがと。正直重かったから助かる」

「はい!ついでに全部持――」

「全部はいい」

「ですよねー。半分までしか許してくれないと思ってました」


ははっと笑い、階段を下りていく片桐くん。
本当に半分までが私のボーダーラインだったので、私はびっくりして足が出なかった。


「職員室前ですか?」


先に二階に着いた片桐くんがくるりと振り返って尋ねてくる。そこで私は我に返り、小走りで階段を下りて片桐くんの隣に並んだ。


「うん、そう」

「りょーかいです!ちょうどオレも国語の先生に用あるんですよ」

「おお」


すごい偶然だな。そういう才能ありそう、片桐くん。


二階の渡り廊下を進み、右に曲がったところにある職員室の前の長机にノートを置く。
その上に片桐くんが彼の運んだ分を重ねてくれた。


「ありがとね片桐くん、助かった」

「いえいえ!じゃ、オレもたに先生に……」


職員室の開いたドアから中を覗いた片桐くんは、あれ、と呟いたと思うと、こちらに引き返してきた。
困ったように頭の後ろをかく片桐くん。

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