H.side
放課後。。
僕は静かな廊下を歩いていた。
最近なんか、初兎ちゃんに避けられてるみたい。
話しかけても「うん」とかしか言わないし、
一緒に帰ることも少なくなっている。
_ぴこん♪
しょ ー ちゃんからの、
『さよなら。』
この意味って...
自分でも何かが切れかけているのが分かる。
今の僕はいつもの笑みが消えているだろう。
でも、それでも良い。
初兎ちゃんさえ居れば。
それでいいんだ。
兎に角今は脳をフル回転させて居場所を考える。
突然、閃いた。
映画館の帰りに、写真を撮ったところ。
「背景、綺麗だね!」なんて言ってたっけ。
ううん、そーゆのはよそう。
...これは、賭けだから。。
果たして、僕の愛しいあの子は踏切にいた。
驚きで言葉もなく、固まっている君すら、
愛しくて、大好き。
何かが切れかけていて、そんな気持ちが
溢れてくる。
綺麗な瞳が揺れている。
抱きしめたい、という衝動を堪えて...
唐突にしょ ー ちゃんが走り出し、踏切へと。
視界の奥には電車が。
彼の手を掴もうとする手は、空を切った。
ガタンガタン、ゴトンゴトン...
僕の手には、彼のショルダーバッグに付けられた、
お揃いのキーホルダーが。
...助かったわ笑
ショックのせいか、ぺたんと座り込んでしまった
彼の、怯えて揺れている目。
パリンッ___
はぁ...僕の何かが壊れたみたい。
ぐいっ、ごく...
すやすやと寝息を立てる彼に向かって、
僕は愛を囁いた___️♡
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。