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第1話

みんなの噂の...
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2018/10/07 14:02


「「「キャーーーーっ!!!!!!」」」


あなた 「っ!?」





朝、廊下を歩いていると突然耳が崩壊しそうなぐらい大きな黄色い声が廊下に響く。
その原因は...そうあいつだ。
この学校にはモデル活動をしている鈴木 裕乃すすぎ ひろのがいる。
こいつがいるおかげで毎日キャーキャーキャーキャー本当に耳がおかしくなるって。

私はそんなモデルさんと...同じクラスの隣の席で....





女子 「なんかさー、裕乃くんと隣とか本当なんなんだろーね」


女子 「それ!裕乃くんは一人席とかにしないのかねー!?」





この通り、嫌味ばっかり。

いやいや!!こっちだって好きでなったんじゃないんですけど!?代われるなら代わりたいんですけど!!!

モデルなんて興味ない。その前に男に興味ないんだから。
イラつきます、非常に。

早く席替えしてくださーーーい!!





あなた 「...はぁ...」





今更ですが、私の名前は一ノ瀬いちのせあなた。
高校2年生なのですが...早くクラス替えがしたい。





柚香 「まーたでっかい溜め息だなー。」





この子は佐藤 柚香さとう ゆずか。私の大親友。
なんでもなんでも話せる仲なんだよね!唯一の!!





あなた 「早く席替えしたい、ほんとに...」


柚香 「いやいや!席替えしたの一週間前ね?w」


あなた 「もーやだやだ...。あの人苦手なんだもん。」


裕乃 「誰のことが苦手だって?」


あなた 「っ!!?」





妙に心地の良い声が耳元から聞こえて慌てて振り返る。
...でました。鈴木裕乃さんですよ。





あなた 「...いちいち近寄んないで!」


裕乃 「なんで?」


あなた 「あなたといると悪目立ちするの!」


柚香 「ちょ、あなた!それは言いすぎでしょ...」


あなた 「そういう事だから!もう話しかけて来ないでもらっていいですか!?」





そう言い放って足早にその場から離れる。






裕乃 「...」


柚香 「ごめんね、裕乃くん。」


裕乃 「いやいや、大丈夫だよ」





...まあでも、柚香の言う通りちょっと言いすぎたのかも...

早歩きしながらそう思った。
だから少しだけ振り返ってみたけど...

あの人は女の子に囲まれててニコニコしてた。
...全然気にしてなかった!!少しでも反省した自分が馬鹿みたい!!!

もー!イラつく!!絶対話さない。決めた!!




...そう決めたのに、話す機会はすぐに来てしまって...。









裕乃 「あなたちゃん。生徒手帳、落ちてたよ」





昼休み。購買から教室に帰ってきて柚香とお昼を食べている時...目の前に綺麗で大きめな手と、その手に持っていた生徒手帳が出された。





あなた 「...どーも、ありがとうございました。」





素直にお礼を言って受け取ろうとしたら、ヒョイっと避けられた。





あなた 「...はぁ?返してもらってもいいですか?」


裕乃 「その前に質問に答えてよ。」


あなた 「なんですか?」


裕乃 「なんでそんなに俺の事嫌いなの?」


あなた 「答えないとダメですか?答える必要ないと思うんですけど。」


裕乃 「えー?答えてくれないと返さないけど?」





ほんっとにめんどくさい!!!
答えればいいんでしょ?分かりましたよ!答えますよ!!





あなた 「男なんて皆一緒だから。可愛い子がいたら必ずそっちに行く。だから興味ないの。あんたも、周りの男子も!」


裕乃 「...そっか。」


あなた 「分かったなら早く返してもらっていいですか?」


裕乃 「あ、うん。」





今度こそ返してもらって、私の平和なお昼時間が戻ってきた。





柚香 「あんなにきつい事言っていいの?」


あなた 「いいの、どーせこの後は女の子にチヤホヤされてニコニコしてるんだから。」





案の定あいつは色んな女の子に囲まれてた。





あなた 「ほらね?だから、私みたいな凡人の言葉なんて何一つ覚えないよ」


柚香 「...意外と覚えるかもよ?」


あなた 「そんな訳ないって。」





みんなの噂のモデルさんは、よく分かんなくて苦手です。

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