_愛華Ver.__
光希は…私に思いを隠してきたと言った。
けどそんなのッ…私が気づけなかったのが悪い。
なんで気づけなかったの?
あんなにいつもそばにいて…彰人の話をたくさんしてたのに…
…私は…気づきたくなかったのかなッ……
私は臆病者で…卑怯者だから。
だから…光希の気持ちは嘘だって自分に言い聞かせて…
気づく必要は無いって勝手に解釈して。
…ごめんねッ……光希…
けど私…今日決断するって決めたんだ。
今日彰人と話すことで…恋の行方が決まる。
それだけ…大切な日なんだ。
…私が話しかける前に話しかけられてしまった…
バスケ部は週に一回休みを撮るが、
写真部はコンクールが近いためそれはない。
あ…帰ってしまう…遠ざかってしまう。
彰人に言いたいことあるのに…
言わなきゃ言えないのに…
早く言わなきゃッ……
言え……!!
今日はいつも以上に顔を見るとドキドキするッ…
知ってる。好きな人がいるなんてこと。
梨央奈でしょ?分かってる。
けど…聞きたいの……彰人の口から。ちゃんと。
……いない…?
今いないって言ったの…?
梨央奈は?違うの…?
諦めたって…
彰人が?
そんなわけないッ…嘘をついている…?
いや、ついてない…
真っ直ぐ私を見て話してくれている。
嘘をつく時の仕草などなら私は知ってる。
それが今はない。
なんで、。
なんて聞けるはずない。
今の彰人は真っ直ぐ私を見てくれてるけど…
どこか悲しげな表情をしている。
えっ…えぇ!?
そう来るとは思ってなかった…
彰人ならすぐ帰るかと…
けど…今ここで想いを伝える?
だめ。今ここで伝えたら…彰人が弱ってるとこに突いたみたいで嫌だ。
いる。って言ったら、丸わかりだ。
だって好きな人いる?なんて、好意向けてる人にしか聞かないんだから。
そうだ…
今はこれでいい。
これで…私は満足だ。
_彰人Ver.__
「いないよ」
そう言って優しく微笑む愛華。
こんなに優しい笑顔…久々に見たな…
けどそれはきっと、嘘をついているからなのだろう。
嘘をつく時ほど愛華はよく笑う。
そういう時に限っていい笑顔だし…
変に深く問いかければ愛華はいつも話を逸らす。
逸らされるくらいなら聞かない方がいい。
いつか…ちゃんとあいつの話聞きてやるか。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。