_愛華Ver.___
私と梨央奈は同じ部活の写真部。
新しく入ってきた後輩でもあり…ライバル。
ライバルっていうのは、部活内の話ではなく、恋愛としてのライバル。
この子は渡した話す時とても怯えてるように見える。
いや…私じゃなくて、女子と話す時に怯えている…?
そうだとしても、男子と話す時はどこか大変そうで辛そうだ。
だけど…
彰人と話す時だけは…梨央奈に笑顔が見える。
私は優しく微笑み問いかける。
梨央奈はライバルだけど…
どこか放っておけないタイプの子だ。
ちゃんとした先輩になってほしいし、
写真コンテストでは1度でもいいから選ばれてほしいと願っている。
梨央奈はとても申し訳なさそうに、
目をそらしながら返事をしてくる。
そんなに私って怖いのかな…?
ほんとかな…?
私が梨央奈に声をかけようとすれば、
梨央奈の視線は違う者へと移っていた。
その人は…
響先輩だった。
_梨央奈Ver.__
あぁ~…やばい…!
愛華さんが私にアドバイスくれようとしたのに…
無意識に先輩の方見ちゃった…
もぉ~…。絶対失礼な後輩って思われたよね…
小さく笑ったあとに愛華さんがまさかの言葉を…
そんなことないよ…
愛華さんは明るくて優しくて…可愛くて。
写真のセンスもすごく良くて……
あれ…響先輩も写真部だけど…
いつもどんな写真撮ってるんだろ、。
愛華さん本当に優しい方…
_響Ver.__
あいつ…名前なんだっけ。
メガネかけてて黒髪で……水かけれてたやつ。
写真部だったんだな。
さっき目が合ってようやく気づいた。
あいつにカイロ投げつけたあの頃からすごくくっついてくるし、。
まさか恩返しとか…?
いやいや…そんなめんどくさいことされたくない。
されたら俺も何かやらなきゃいけないじゃん。
こんなこと言うためにこいつに話しかけたわけじゃない…
恩返しされるよりも面倒な方へ自分から行ってしまった。
うわ…まじか……
俺一人の方が良いの撮れるの、に……
めっちゃ目ウルウルしてる…
犬かこいつ…
ありゃとざいます…?
なんだその言葉…俺が知らないだけ…?
ありゃと…ざいます……
ありがとうございます…って意味?
なんか…
こいつのお願いは何故か断れない…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!