_駆Ver.__
もし学校が…大人が。世間が。
許してくれないとしても…
俺は愛華が好きだ。
それを伝えるには…少し早すぎたか。
けど…これを逃せば俺は二度と言えない
気がして。
_数時間前___
愛華が職員室へ
怪我をしているから保健の先生はいないかと
来た。
ちょうど保健の先生はいなかったため
俺が代わりに怪我の手当をしていた。
保健室で俺と愛華の二人きり。
こんな好都合なことがあるだろうか。
そうして俺は…とうとう愛華に伝えてしまった。
俺はとことん臆病で…
大馬鹿者だ。
先生という…大人というものに縛られて。
そこから抜け出そうともがいている時に
お前と出会った。
お前は…俺に笑顔を見せてくれた。
他の生徒とは違う笑顔。
他の生徒みたいに…
媚を売るみたいな笑顔ではない笑顔。
俺を元気づけてくれてるように俺には見えた。
それがすごく嬉しかった…
心に残った。
そうして俺は愛華を好きになった。
先生と生徒の関係なんて全く考えずに。
そうだ。
何も言えずにお前が卒業するのを待つなんて
できなかった。
いつまでも後悔すると思った。
そんなの…できない。
これから先愛華に避けられようと…
嫌われようと。
そうなってもいい。
だから
これでよかったんだ。
…そうか。
こいつは…辛い思いを何度もしてきた。
俺なんかより、ずっと。
卒業後の返事。
少しだけ…期待してもいいか。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!