_梨央奈Ver.__
響さんに救われたあの日から…
今日まで。
私の進歩はあったのかな。
私と響さんが重なることは…あったのかな。
卒業してしまうのに、
いなくなってしまうのに、
響さんのところへ行けない…
すぐ目の前にいるのに…
ずっと桜を眺めている響さん。
その横顔が…切なくて…
私は響さんが好き。
響さんもきっと私が_
響さんが日本を出る噂は知っていた。
けど…怖くて聞けなかった。
聞いたら離れ離れになることが
生々しく感じてしまう。
…告白、できなくなっちゃう…
日本を出て活動する響さんを
応援しなきゃ…
だから…この気持ちはっ。
好きって気持ちは…
_自分の中に閉じ込めるんだ__
_響Ver.__
梨央奈の隣で桜を見る。
そんなの…今日しかできない。
これからは会うことすら出来ないかも
しれない。
できたとしても電話くらいしかできない。
けど
お互いそんな勇気なんてない。
そんなことをすれば
自分を暴走させてしまう。
それを分かっているから。
今だって。
自分の気持ちを伝えたいという感情が
溢れかえってる。
でもそれを表に出せば
混乱を招いてしまう。
俺が日本から出るという決断が
鈍ってしまう。
それを梨央奈は知っている。
俺だって知っている。
梨央奈は笑って誤魔化しているが、
本当はそんな理由ではない。
叱ってもらえる…というのもきっと嘘。
それ以上の理由が梨央奈にはある。
それを気づいていながらも
好き。と言えない自分が嫌いだ。
それを言うだけでも
決断が鈍るのなら…
それだけの人間だった。というだけだ。
言えばいいのに。
度胸試し。という言葉になってもいいから、
言えばいい…
なのに…
____ … _____ 。
響さんはきっと私が好き_
梨央奈は多分俺のことが好きだ_
けどそれを言えば響さんを困らせる_
本当のことを言えば梨央奈を泣かせる_
だから_
…だから_
__大人になるまで_____
__この気持ちは閉じ込める____
待ってますよ_
待ってるからな_
響さんのこと_
おまえのこと_
_大好きです_
_好きだからな_
__また 会う日まで____
__返事は おあずけ____
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!