1週間は流れるように過ぎていって、ついに合格発表の日。
いつもより早めの6時に起きて、身嗜みを整える。
着慣れた中学校の制服を着て、髪の毛を結って、ご飯食べて。
傍らでは、有給を取ったお父さんが忙しなく動いている。
「もう、お父さんったら。そんなに心配しなくても大丈夫だって。翼咲頑張ってたんだから。」
「お姉ちゃん、その言葉が1番プレッシャーになるんだよ...」
私がそう言うとお姉ちゃんは、「そうか、そうだったっけなあ」と頭を掻き出した。
わざとらしいよ、もう....。
お姉ちゃんが白々しい態度をとっていると、お化粧が終わったらしい。
いつもよりも3割増なお母さんが、
「ほら、時間になるから車乗って」
と上着を羽織りながら言った。
「はーい、」と適当に返事をして、お気に入りのスニーカーを履いて車に乗る。
外は曇っていて、少し肌寒かった。
学校に向かっている途中、友達からの通知が来ていた。
グループを見てみると、通知が30件。
中学で仲の良かった4人のグループで、みんな公立高校を受けた子達だ。
内容はやっぱり緊張するー、とか落ちてたらどうしよう.,.。とか。
私もそれに同意して、携帯の電源を落とす。
駅を超えて、スーパーの角を曲がって...。
高校に車は停めれないから、近くのコインパーキングに停めて歩く。
高校に近づいていくにつれ、上がる心拍数。
ザワザワと人の声。
合格発表は10:00から。
今はまだ9:50...。
大丈夫、頑張ってきた。
大丈夫、大丈夫。
時計の秒針が、時間を刻んだ音がした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。