前の話
一覧へ
次の話

第5話

Chapter.4
92
2018/12/17 09:17
    放課後、花は必死に正臣に電話をかけていた。何度も何度も電話をかけ直すが、一向に繋がらない。仕事中であることは分かっていたが、一刻も早く事情を伝えたかった。
……出ない……正臣さん…………
    思わず声が出た。何も音沙汰が無いということは、正臣の会社では話題にすらなっていないのだろうか。
結局、七回ほどかけたところで諦める。鬼電したって迷惑なだけだ。
ほんと、何なの……
    怖い。誰が見ていたのだろう。仕方なくパソコンを立ち上げ、画像検索をかける。覚えているのは援交のハッシュタグぐらいなのだ。そんなタグはいろんな記事につけられているだろうし、もっと酷い画像も出てくる気はする。
検索、っと……
    取り敢えず、『Tmitter 女子高生 援交』で検索をかけてみる。画像は出てきたが、探していたものは見つからない。
――消された?通報されたのか……?
他にも色々と条件を変えて検索するが、あの写真は出てこない。消されたのならまだいいのだが、見えないようになっているだけかもしれない。その事を考えると安心などできなかった。
正臣さん……早く、電話してきてよ……
    不安。焦り。恐怖。複雑に絡み合った感情が、待つ時間を何倍にも増幅させる。
――――寒い。
花は椅子の上で身体を丸めた…………









着信音
ピピ……ピピ……
……電話!?
    いつの間にか眠っていたらしい。固まった身体を起こし、花はスマホに手を伸ばす。画面には正臣の名前があった。
もしもし?正臣さん!?
正臣
あ、花ちゃん?どうしたの?めっちゃ電話来てたけど……
    聞き慣れた声。その安心感に、涙が出てきてしまった。
うっ……正臣……さん……
正臣
えっ、え、どうしたの花ちゃん!?なんで泣いてるの!?
    おろおろした正臣の声が聞こえた。
っ……怖いよぉっ……
正臣
えぇっ、ちょ、花ちゃんどこにいるの!?
家、だけどっ……来たら駄目……あのっ……あのね……
    花は必死に状況を説明しようとするが、涙に邪魔されて言葉にならない。
正臣
と、取り敢えず、落ち着こう?時間はいっぱいあるから、ね?
う、うん…………
    花は必死に涙を拭った。ただでさえ心配をかけさせているのに、これ以上不安要素を増やすわけにはいかない。




正臣
大丈夫?落ち着いた?
……うん
正臣
そ、良かった……で、どうしたの??
    花は息を吸い込んだ。
あのね…………

プリ小説オーディオドラマ