放課後、花は必死に正臣に電話をかけていた。何度も何度も電話をかけ直すが、一向に繋がらない。仕事中であることは分かっていたが、一刻も早く事情を伝えたかった。
思わず声が出た。何も音沙汰が無いということは、正臣の会社では話題にすらなっていないのだろうか。
結局、七回ほどかけたところで諦める。鬼電したって迷惑なだけだ。
怖い。誰が見ていたのだろう。仕方なくパソコンを立ち上げ、画像検索をかける。覚えているのは援交のハッシュタグぐらいなのだ。そんなタグはいろんな記事につけられているだろうし、もっと酷い画像も出てくる気はする。
取り敢えず、『Tmitter 女子高生 援交』で検索をかけてみる。画像は出てきたが、探していたものは見つからない。
――消された?通報されたのか……?
他にも色々と条件を変えて検索するが、あの写真は出てこない。消されたのならまだいいのだが、見えないようになっているだけかもしれない。その事を考えると安心などできなかった。
不安。焦り。恐怖。複雑に絡み合った感情が、待つ時間を何倍にも増幅させる。
――――寒い。
花は椅子の上で身体を丸めた…………
いつの間にか眠っていたらしい。固まった身体を起こし、花はスマホに手を伸ばす。画面には正臣の名前があった。
聞き慣れた声。その安心感に、涙が出てきてしまった。
おろおろした正臣の声が聞こえた。
花は必死に状況を説明しようとするが、涙に邪魔されて言葉にならない。
花は必死に涙を拭った。ただでさえ心配をかけさせているのに、これ以上不安要素を増やすわけにはいかない。
花は息を吸い込んだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。