〜真司郎side〜
全員でグラスを掲げて、乾杯をする。
ビールを一気に飲み干して、正面を向いた。
俺の向かいにいる日坂さんは、両隣の女性モデルと楽しそうに話している。
ぼーっと日坂さんの顔を眺めていると
と、不意に話しかけられた。
俺は思わず持っていたジョッキをテーブルに置いて言った。
日坂さんの笑顔に身体中に電気が走る。
その時、スタッフさんが俺と日坂さんの撮影を褒めてくれていたみたいだけど
何も耳に入ってこなかった。
俺は、1人意気込んだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
打ち上げが終わった後、帰りそうになった日坂さんを引き止め、連絡先を聞いた。
家に帰って、ソファに腰掛け、連絡先一覧を見て日坂さんの名前を探す。
名前を見つけただけで、こんなに嬉しいものだろうか。
こんな感覚は初めてだったから、戸惑ったけど
今日初めて会ったけど、きっと好きになってしまったのだろう。
今まで、付き合ったことはもちろんあるし、ちゃんと恋をしたこともある。
でも、その中で一目惚れはしたことなかったし、1度会っただけでこんなに心を揺さぶられる人は初めてだ。
潔癖症(?)の俺が、手を洗わずに真っ先にソファへ向かって、スマホをいじるなんて初めてだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。