第18話

黒い影
599
2018/10/08 09:18
だけど、黒影はすぐそこまで来ていた…
ろくろ
ろくろ
雪、退院だからってまだ無理すんなよ
雪
わかってるよー!
今日、無事退院しました!


結構早い方らしいけど、遅いより早い方がいいしね!


今日はろくろと2人でミニパーティーをするの


楽しみだな
ろくろ
ろくろ
雪!料理は俺が作るよ
雪
え!私も手伝う…
ろくろ
ろくろ
い!いいから!気にすんな
ろくろ
ろくろ
(雪に作らせたら、死ぬ!)
雪の手料理はとてつもなく不味い


それに比べてろくろの腕前はシェフ並みでとても上手い
ろくろ
ろくろ
頭いてぇな…
雪
大丈夫?
ろくろ
ろくろ
ああ、ちょっと痛んだだけだ
この頭痛が、取り返しのつかないことになるとは二人とも知らないでいた。

料理ができ上がり、パーティーの始まり!
ろくろ
ろくろ
退院おめでとう!
雪
ありがと!ん、おいひー!
ろくろの作った料理を次々と食べていく雪


そんな雪を愛おしそうに眺めるろくろだったが、また頭痛に襲われていた。
ろくろ
ろくろ
ちょっと紅茶をいれてくるよ
ケーキを食べるために紅茶を入れに行ったろくろ


台所で紅茶を入れている時、激しい頭痛に襲われた

ろくろ
ろくろ
いっ…!
頭痛が収まったろくろだが、様子がおかしい。目から光が消え、何かがとりついたようだ。


どこから取り出したのか、白い粉を紅茶の中に溶かし、何事も無かったかのようにリビングにいる雪の元へ持っていく。
雪
ろくろ、どうかしたの?
異変を感じとったのか、雪は何か様子がおかしいろくろをじっと見つめる
ろくろ
ろくろ
なんでもないよ
雪
…そう?あ、ありがと
ろくろは雪に白い粉を入れた方の紅茶を差し出した。


そして、自分は何食わぬ顔をして何も入っていない紅茶を飲んだ。


雪はまさか自分の紅茶に何かが入っている、とは知らずに、ゴクリ、ゴクリ、と飲み干した。
雪
美味し…?
美味しいと言おうとした雪


だけど、何か違和感を感じた。


次の瞬間、胸の奥が苦しくなる。
雪
うっ…ろ、く…ろ?
ろくろ
ろくろ
ふっ
ろくろの見たこともないような黒い笑み

そして、雪は気づいてしまった。



ろくろの額にある文字に



それを見た瞬間、雪は唱えた。
雪
ーーー、急急如律令…
バチンッとろくろの額に電気が走り、その文字がスーッと消えた。


ろくろは意識をなくして倒れ込んだ。


安心したのもつかの間、雪は激しい苦しみに襲われていた。
雪
ぐぁ……くっ、
のどが、胸が、焼けるように熱い


息ができない


苦しい
雪
ゴホッ!…ゴホゴホ!
びちゃっ!



口から出た血が飛び散る。
雪
た、す……け…
雪はそのまま動かなくなった。

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