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第1話

プロローグ
今夜は一段と、月が大きく輝いて見える。
こんな夜にはムーンストーンでも使って、お願いごとのひとつやふたつしたい。
月光の下、果てしなく広がる砂漠には、枯れた木が一本。ここ「死の沼地」には人っ子一人どころか、生きているものなど存在しないはずだった。


はずなのに……
ラナ
ラナ
そっち、行ったわよ!
ホヌ
ホヌ
わかってる!
盗賊による包囲をものともせず、ラナの従者ホヌは闇夜を駆け回る。短剣を振り回す彼の足さばきが、わざと砂埃を立てる。身長が低く童顔のホヌは、自分の容姿を気にしているけれど、夜戦ではそのコンプレックスが武器になる。
案の定、子供だと思って油断していた敵どもを、1人、また1人と地面に倒してゆく。見通しのきかない闇夜に加え、砂埃の目隠し。そして、ホヌの鷹のごとき素早さ。
ラナ
ラナ
(まるで暗殺者ね。ホヌが敵じゃなくてよかった。)
味方だけれど、恐ろしくなるほど強いホヌから目を離し、ラナも自分の標的を探す。
デストリアス
デストリアス
さっさと捕まえるんだ!
いくつか立ち並ぶ、影のうちの1人が叫ぶ。すらっとした長身で、マントをはためかせる彼の姿は、マッチョな男たちが集う盗賊団のなかで、すぐに見分けが付く。
ラナ
ラナ
(影で一目瞭然ね。)
暗闇の中、手探りで麻袋をあさる。ガーネット?違う。ターコイズでもないし、ラピスラズリでもない……。
メラルド
メラルド
キュルッ
ラナ
ラナ
メラルド、手伝ってくれるの?
お願い!
メラルド
メラルド
ふんふんふん……キュル、キュル!
ラナ
ラナ
ありがとう!
ラナ
ラナ
(トルマリン)
ラナ
ラナ
(スモーキー・クォーツ)
ラナは、お目当のマジックストーンを指輪にセットし、標的に迫る。ホヌほどは素早く走れないラナだけど、幸いホヌが暴れまわってくれているおかげで、だれもこちらには気づいていない。
ラナ
ラナ
くらえっ!
指輪から電気が放出する。
慌てて振り向く、人影。でも、もう遅い。
デストリアス
デストリアス
うっ……、クッ……!
長身の人影は、どさりと両膝を地面に着いた。
ホヌ
ホヌ
ラナさん、早く!
暗闇の向こうでホヌが叫ぶ。
ラナは迫ってくるほかの盗賊たちに向けて、2つめの指輪を発動させた。
ラナ
ラナ
さよなら、みなさ〜ん👸🏰✨
ごきげんよう😉❤️
とっておきのお上品な声と、ウィンク。そして、噴出する煙。
ホヌ
ホヌ
かわいこぶってないで、早く!!
呆れた声で、従者がラナを呼ぶ。
ラナ
ラナ
はいは〜い😘
すでにドラゴンに乗っているホヌの後ろに座り、煙が立ち込める一帯を見やる。
デストリアス
デストリアス
ゴッホ、ゴホッ……
追え……!!
俺のことは放っておけ!
いいから、やつらを追うんだ!
敵の声を最後に、ラナたちは一気に上昇した。ホヌがドラゴンの手綱を巧みに操る。
上空3000メートル。


星空の海を、疾駆した。

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平七羽
平七羽
こんにちは!平七羽(たいらいろは)です。ファンタジーとイケメンをこよなく愛しています。疲れちゃう毎日ですが、少しでも楽しくなるように。そんな小説を書いていきたいと思います╰(*´︶`*)╯💠twitter→@taira_iroha💎