私は、必死で逃げた。
三人も全力で追いかけて来る。
その時、私は、階段で転んでしまった。
そして、捕まった。
私は、強く押さえられてしまって、逃げる事が出来なかった。
だから、私は、逃げる事をもう諦めた。
だが、その時、奇跡が起った!
『何してるんだ?』
奏だ。
『何でここに?』
私は、とっさに聞いてしまった。
『遅いなぁと思ってさ。もう本鈴なってるし。』
逃げるのに夢中で気づかなかった。
それに、いつの間にか、三人も私を離していた。
私は、チャンスと思って逃げた。
『先に行ってる!』
それだけ言った。
奏は、追いかけてこなかった・・・。
そして、教室に着いた。
入りたくないな。
そう思ったが、思い切って入った。
視線が痛い。
私は、『遅れてすいませんでした。』そう言って座った。
私は、視線を合わせないようにした。
下を向いた。
視線を合わせるのが怖い。
その時、声がしたような気がした。
『だったら、消しちゃえばいいじゃん。』
何だか、嫌な予感がする。
奏は、授業が終わったときに戻って来た。
そして、言った。
『すいません、先生。泣いてのが、ほっとけなくて、泣き終わるまで一緒にいたら、授業が終わってしまいました。次から、気をつけます。』
『お前らしいな。次からは、授業に遅れないようにな。』
先生は、そう言うと、教室から出て行った。
その後、奏に呼び出された。
あの三人も居た。
そして、奏は私に言ってきた。
『さっき、この三人をいじめてたって本当?』
あの三人、奏に嘘をついたんだ。
もちろん、私は、違う、と言った。
けど、信じてもらえなかった。
『嘘をつくのは、辞めた方がいいと思う。時間ないから、また、後で話そう。』
そう言って、奏は、教室に戻った。
あの三人は、私を見て、笑った。
私は、味方がいなくなってしまった。
この先どうしたらいいんだろう。
その時、また、声がした。
『だから!消しちゃえばいいんだよ。0時に待ってるよ。』
この声は、私にしか聞こえないのか?
周りの人は、反応していない。
私は、教室に戻りたくなくて、授業をサボってしまった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!