第30話

幻覚
111
2018/10/24 10:59
私は目から溢れてくるものを拭きながら家に戻った。















リビングには、誰の姿も無かった。















私は携帯だけ持ち、自分の部屋へ行った。












ベットに横になったが、落ち着かなかった。














私は携帯を開き、あのメールを見た。














嘘だ……。








私は信じない。










もう簡単には信じない。











響のお母さんの本性に気づいていたら、響は死なずに済んだかもしれないのにな。











本当に馬鹿だな、私は……。














私は響に会いたくなり、家を飛び出した。



















止まらずに走り続けた。









響の墓の前に着くと、私は座り込んだ。











『ねぇ響、聞こえてる?響に会いたいよ。私一人じゃ無理だよ……本当は生きてるの?どっちなの?』










私は目から透明なものが流れて止まらなかった。










その時、後ろに気配を感じた。











私はすぐに振り返った。










すると、そこには……







響が居た。













『響!』











私は短く叫び、駆けつけた。











だが、いくら走っても近づく事が出来ない。

















『響!待ってよ!』












響はどんどん欠けていった。




















『響ー!』










私は手を伸ばし長く叫んだ。










その瞬間、響は消え去ってしまった。













幻覚でもいいから、響と話したかったのにな……。















私はもう一度墓の前に行き、話し掛けた。












だが、それ以降、響が現れることは無かった。



























『響、また来るね』













三十分後、私は墓の前から歩き去った。






















家に帰ると、お母さんが帰って来ていた。











『ただいま』









私はその一言だけ言い、自分の部屋に駆け込んだ。












私は扉を勢いよく閉めると扉に寄りかかった。










その時だ……!






また、メールが来た。











APEPからだ!










さっき墓の前に居たね。
本当に来ないの?
明日の四時に延長してあげるよ。
自分のその力がどれほど危険なのか今夜思い知るといいよ。









そう送られてきた。









私はそのメールが来た時、少し安心した。












私は行こうか本当は迷っていた。













時間はあっという間に過ぎていく。













カーテンを開けた時、空は暗くなっていた。













私は特にすることも無かったからリビングへ行った。












すると、そこには誰の姿も無く、紙切れだけが机の上に置いてあった。














私はその紙切れに書かれていることを読むと、家を飛び出した。











響くんの家に行ってきます。
すぐに戻ってくるから待っててね。
母より










そう書いてあった。










駄目だ!










あの家に行っては駄目だ!












速く、もっと速く走っていかないと……。





















響の家に着くと、丁度お母さんが出て来た。












『未優どうしたの?』











私に気づいたお母さんは話し掛けてきた。











『行くなら言ってよ!』










私は強く言ってしまった。












『ご、ごめん。』










私はすぐに謝った。










お母さんは気付いてないんだ。













『お邪魔しました』








お母さんはそう言うと、私のそばへ来た。










『未優どうしたの?』











お母さんは心配していた。











『何でもない!大丈夫だよ!』









私は偽りの笑顔を作った。











『本当に?何か隠してない?』










『隠してないよ!早く帰ろうよ!』











私はお母さんの腕を引っ張った。









この時、響のお母さんは未優達を見つめていた。











それに二人は気づいていなかった。













家に帰ると、お父さんが帰って来ていた。












『今日はもう寝るね!』











私はそう言うと、自分の部屋へ行った。











ベットに横になると、私はすぐに寝てしまった。













それは突然だった。













着信音が鳴り響いた。












その瞬間、身体が勝手に動き、電話を取った。











『×××を殺してください』





























その声を聞くと、私の意思関係なく身体は勝手に家を出て行った。
















私は、この後あんなことになるなんて思ってもみなかった。









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