第32話

暴走
93
2018/11/07 11:23
『もうやだ……。誰も失いたくない……』












未優はゆっくりと立ち上がり、後ろを振り向いた。














『全てお前のせいでこんな事になってるんだ……!』












未優の目線の先には、響のお母さんが立っていた。













『どうしたの?未優ちゃん』

















『説明しなくても、分かってるだろ!もう演技はいいよ……いい加減本性見せろよ!』













未優にはなんの言葉も届かなかった。










『本性?そんなの無いわよ!』












響のお母さんは微笑みながら言った。












『さっさと見せろよ!演技するなって言ってんだ!』













何笑ってんだよ…ふざけんな!









『分かった。』








響のお母さんはあるカードを見せてきた。











『あーあ、お前もAPEPだったのかよ……少しは信じてたのに……』













未優は台所に行き、包丁を持った。










『……もう信じない!お前なんかいらない!』











そう言い、未優は響のお母さんの方へと走った。
















あぁ、あっという間だ。














『もう大丈夫だよ、お母さん』













壁にはたくさんの血が飛び散っていた。













一つは心臓、二つ目は右足、三つ目は左目にと三つの包丁が響のお母さんには刺さっていた。




















その時だ……!













着信音が鳴り響いた。












私はすぐに出た。













『もしもし、奏だよ。君の周りにいる人は不幸になる。伝えるの忘れたね。でも、今ので分かったでしょ?それとごめんね、もう助けることは出来ないよ。君は人を二人殺した。一人は昨日の夜に、もう一人は今。君は今日、死ぬよ。響と一緒に君を殺しに行く。逃げないで待っててね』














そして、電話は切れた。















あー、私死ぬんだ。

















いや、まだ死ねないや。

















殺しに来るんなら、逆に殺せばいいか。










もう誰も信じない……。











響と奏が本物だとしても、もう知らない。














これからは響の為じゃない。










これからは自分の為にやるんだ!











『あー、本当に今日は最悪な日だな……』














未優はそう呟くと、片付けを始めた。



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