第24話

手紙
131
2018/10/06 11:27
響が亡くなって三日後に葬式が行われた。  













響の葬式は人が溢れていた。














私に響にはもう近づかない方がいいと注意をしてくれた子も居た。
















私はあの日から涙が止まらなかった。














止まっては数分後にはまた止まらくなっての繰り返しだった。














そのせいで瞼が腫れ上がっている。













今では涙が止まっているが、油断したらまた止まらなくなるだろう。





















響が死んだ日の夜、響のお母さんと色々話をした。

















『奏じゃないって知っていたんですね』













最初に話し始めたのは私だった。














『知っていたわ..奏が死んだあの日から..』














『そうなんですね。じゃあ、響が人を殺していたことは?』














『それは知らなかったわ。様子がおかしいとは思っていたけれど。』














『そうなんですね。なら、私が全て話しましょうか?』













『いえ、大丈夫。響が話したくなかったなら別に知らなくてもいいの。でも、一つ不自然な事があったの。』















『なんですか?』











『事故じゃないと思うの。響は事故が起こる三日前からメールを見る度に微かに震えていたの。私は一度、(大丈夫?何かあったの?)と聞いたわ。けど、響は何も言わずに部屋に行ってしまったの。もし、響が事故に見せかけて殺されたのなら私は許せないわ!』














『メールを見て?』












もし、本当に誰かに殺されたのなら私はその犯人を見つけ出す!





危険だとしても絶対に!









『ええ、そうよ。あっ!それと、これ響から未優ちゃんにって!最初から用意していたみたいなの。』






用意していたなんておかしい。












死ぬって分かっていたようだ。












『ありがとうございます!今、読んでもいいですか?』











『いいわ。』











返事を聞くと、私は手紙を読み始めた。










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未優へ



これを読んでいるってことは俺は死んだんだな。
アイツらの思い通りになっちゃったか。
未優、今から大事なことを書く。
よく読んで欲しい。
でも、その前に謝らせてくれ。
あんな事をしてごめん。
未優をたくさん傷つけて、今でも後悔してる。
何であんな事をしてしまったのか自分でもよく分からない。
本当にごめんな。
こんな事、思っていいのか分からないけど、
未優に死ぬ前に一度会いたかった。
たくさんお話したかった。
たくさん遊びたかった。
俺は逃げるようにして死んで行った。
憎んでいい!当然のことだ。
今までありがとうな!
次で最後だ。
もっと一緒に居たかった。
未優とずっと一緒に居たかった。
俺は死んだけど、未優は生きろ!

未優、次が本題だ!
未優も命を狙われることになるかもしれないからな。
ある日、俺にメールが送られてきた。
『お前は三日後に死ぬ』とな。
最初は冗談だと思っていた。
だが次の日……『お前は二日後に死ぬ。車に轢かれて』
また次の日……『お前は明日死ぬ。〇月〇日〇曜日四時半頃に車に轢かれる。』
そして翌日……『お前は今日死ぬ。赤い車に轢かれる。』
俺はさすがに怖くなった。
俺は四時半のときは家の中にいようと決めていた。
でも、身体が勝手に動いた。
交差点まで着くと、身体は自由になった。
だが、その瞬間に、赤い車が俺の方へ向かってきて、俺は轢かれた。
避ける暇は無かった。
俺は誰かに計画的に殺された。
未優、俺の手を握ってくれ!
未優に力が流れ込む。
深夜0時の電話を受け継いでくれ。
人を殺せとは言わない。
犯人はそれが目的だと思うんだ!
深夜0時の電話の力が欲しいんだ思う。
そして、出来たらでいいからさ、力を欲しがっている悪人を見つけ出してくれ。
危険だと思ったらやめろよ!
じゃあ、あとは頼んだぞ!





響より








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最後の方はだんだん字が汚くなっていた。











轢かれた後に書いたのかもしれない。








私は手紙を読み終えると、頬に透明なものが伝っていることに気づいた。

















私はその日、最後に響の手を握った。













身体に何か流れ込んでくるのが分かった。














三分ほどしてその感覚は無くなった。













私はしばらく響を見つめていた。












数分後……










誰も周りにいないのを確認して、言った。









『響、任せて!絶対見つけて殺すから!』
















私は最後に約束した。



















この約束は絶対叶えてみせる!














響と私の最後の約束だから!



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