第21話

真犯人
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2018/08/27 11:09
私はカバンを保健室に置いたまま、走って学校から飛び出した。
















飛び出したものの、どこに行くかは決まってない。










でも、どこでもいい。













誰も居ない所なら…どこでも。















家に帰っても、どう接したらいいか分からない。


















だって、私が本当の母親と父親だと思っていた人は本当は違くて、兄弟が居ることも私は忘れてて、奏の事までも忘れてて、私は最低だ…。






自分が許せない。












その時、私は何かにぶつかり立ち止まった。













その時の目の前の光景に驚いた。










広く、ギラギラと輝いてる海が目に映ったのだ。













海に私は「こっちに来れば怖くない、おいで」と呼ばれているように感じた。














このまま、飛び込んでしまえば、もう楽になるだろうか?












本当の家族に会えるだろうか?









あー、そうだ。














私が居なくなれば響も元通りになる。






















私は柵に座った。










でも勇気が出ず、それから前に進めない。







その時…!!











『未優!!』













響が私を追いかけてきていた。















私は柵から降りずに言った。














『しばらく距離を置こう。違う…。響、ずっと距離を置こう。私のせいで響がそうなったのなら、私は責任をとらないとだよね…。ごめんね…響』










ずっと一緒に居たんだ。













恨みたくても、恨めないよ。











私が決意し、柵から手を離した時……!!













響が私の手首を掴んだ。









でも、持ち上げて私を助けようとはしない。







響は私に言ってきた。













『ごめん。未優のせいじゃない。俺が悪かった。俺は自分の為にやっていた。でも、俺は未優の為だと言い訳をし、逃げていた。未優、許してとは言わない。死のうとするのを止めたりしない。未優が止めて欲しく無いのなら。でも、その前に聞いてくれ。全ての真相を。』












そう言い、響は私を引き上げた。













『やっと、話してくれるんだ。もちろん聞くよ。とりあえず、あそこのカフェに入ろうか』













『そうだな』













そうして、近くのカフェに入った。















注文を終え、席に座ったその直後に響は話し出した。












私はそれを真剣に聞いた。















『まずは、連続強盗事件についてだ。連続強盗事件、その犯人が捕まってないことを知り、俺は考えた。今、未優の家族を殺しても、連続強盗事件と勘違いされるとな。俺は、その犯人を捕らえて首吊りをし、自殺に見せかけた。その間に未優の家に侵入して、未優の家族を全員殺した。邪魔だったから。本当にごめん。俺は、未優と関わっているやつが羨ましかったんだ。こんなのただの言い訳になってしまうけど。そして、その後は奏も殺した。自殺に見せかけてな。それと、響が死んだと思わせて。そして、先生から死んだと発表されたやつも全員俺が…殺した』















私はそれを聞いた途端、許せなかった。












自分が…。















結局は、私のせいで皆、死んだという事になる。






私のせいで、大勢の人が死んだ。












殺したのは私じゃなくても、原因は私ということに変わりはない。










なら、もうこうするしか無い…。









私は響に向かって言った。

















『そうだったんだ。話してくれてありがとう。でも、やっぱりさ、私達は距離を置いた方がいいみたいだね…。だから、じゃあね!響!』














私は無理矢理笑顔を作った。















そして、カフェを出ていった。









それから三日後。









私は転校した。











それと、一人暮らしを始めた。











思い出したことは言わなかった。














真犯人についても私の中だけに留めておくことにした。











そして、今日は転校する学校へ初めて行く日だ。













つまり、初登校ということだ。













今度こそは、もう失敗しない。


















絶対に…。

































































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