【共依存】
新谷×石井
#2の続きです
⚠️🔞作品
⚠️過激、独特表現有り
〈石井side〉
耐え難い頭痛と目眩と共に目が覚めた。
なんやこれ…フラフラする…
どうやら、さっき急に押し倒されたせいで、頭をぶつけたらしい。頭に少し打撲のあとが見られる。
あかん、何があったんや。
ようわからん。どのくらい意識を失ってたんかも分からへん。
何で、なんでなんでなんで…
新山が、俺と隣の部屋で…写真撮って…拐った?
待ってや、ほんま分からんって。
理解が追いつかん中、必死に考える。
────まず状況を整理せなあかんな。
今、俺は窓のない一室におる。来客用の部屋なんか知らんけど、綺麗に整頓されとる。
部屋から廊下に出る扉は外側から鍵がかけられてるから出られへん。
そして、この部屋にはもうひとつ扉がある。
この扉は…簡単に開くねん。
何でこの扉は開くんかわからん。かけ忘れか??いや、部屋に二つも扉なんて必要ないはずや。出入りは一つの扉で充分やし、ここはまずアパートや。部屋数もそんなにないはず…
じゃあこの扉は何なんや?
────ギィ
なるべく音を立てんように、隣の部屋へ続くと見られる扉を開けた。
俺は、後悔した。何でこの扉を開けてしまったんか。
開けへんかったら、こんなこと知らずに済んだかもしれへんのに。
後ずさりをする。一歩ずつ…ゆっくりと。
新山「何してんの」
石井「ひぃっ」
いつの間にか背後には新山がおった。
怖くて身体が動かへん。これだけの身長差のある相手に力で叶わへんことはわかってる。
新山「…見てもたんや?」
そう、見てしまった。
部屋一面中に貼り付けられた俺の写真。
あの壁の穴から撮ったであろう盗撮写真ばかり。
そして、その写真のどれもが赤く塗りつぶされていた。
ベッドにも、俺の写真の貼り付けられた抱き枕。机にも俺の写真が貼り付けられてる。
もう、何が何だか全く理解が出来へん。
そんな俺でも、一つだけ理解出来ることがあった。
石井「…お前、」
俺のこと…
新山「せやで。」
石井「好き、やったんや。」
全く知らへんかった。こいつ、俺にいつも怖い視線向けるし、なかなか喋りかけてもくれんし。嫌われてるもんやとずっと思ってた。
やからこそ驚きが隠せれへん
新山「…なぁ、これみてどう思う?」
部屋からは異臭がする。
写真の所々に、白いモノがかけられた跡がある。
…気持ち悪い。そう言えたらええのに。
新山「…何も言わんってことは…受け入れてくれるってこと?」
違う。そんなわけない。受け入れるなんてできひん。気持ち悪い。吐き気がする。早く解放しろ。
言いたい言葉は思い浮かぶのに、なぜか言えない。
言えないんやない、俺が言おうとせぇへんのや。
コイツなりに一生懸命に好きでおってくれてたことを知って、そんなこと言われへん。
いや、言えなあかんのやろうけど、どうしても俺にはそんな酷なことができひん。
こんな場におる割にやけに冷静やな、と自分でも思う。
頭がなぜかフル稼働しとる。
でもその稼働は…
〝どうやったらこいつが傷つかへんか〟
そんな偽善の思いやりと優しさの塊みたいなことしか考えられへんかった。
俺の身体に新山の腕が絡みつく
荒々しく、どこか生々しい吐息が首筋に吹かかる
情熱的で、どこか虚ろで…そして少し寂しそうな目で俺を見つめてくる。
嫌な汗をかく。
もう、俺は…どうしようもないんやろうな。
全てを悟った目をした。
どうしようもなくダメで、グズで、
どうしようもなくこの状況に興奮しとる。
…ずっと仲良くなりたかった新山が…今こうしておってくれとる。
新山「…なぁ、好きやねん…」
新山「耐えられへんくらい、好きやねん…」
新山「愛してる、愛してんねん。」
こんなにも、俺に愛のある言葉を向けてくれる
石井「なぁ、新山」
震える声を振り絞る
石井「…俺を抱きたい?」
新山「…むちゃくちゃにしてやりたい」
石井「…その願い、叶えさせてやるわ」
新山「石井…」
石井「その代わりな、」
石井「無条件に俺を愛して。」
石井「…仲良く、して欲しいだけなんや。」
こんな場で絶対に言うことやないと分かってる。
そして、誘うようなことを自分から言っていることも重々承知や。
でも、この機会を逃したら、俺は後悔すると思った。
新山「…それでええんやな?」
石井「…」
軽く頷いた。
その瞬間、新山はまるで飢えた獣になったかのように、俺の口にむしゃぶりついてきた。
石井「んっ…はぁっ…にっ、やまっ」
新山「んん…んっ…はぁっ…はぁっ…んんんっ」
石井「んッ、んッ、んんんっ」
──クチュ、クチュッ
いやらしい水音が静かな部屋に響く。
慣れた手つきで、俺の胸に手を伸ばす。
石井「ちょっ、やぁっ、やっ」
新山「自分から誘っといて…嫌はないやろ?」
そう、自分で決心した末路や。
それでも、男にされるなんて初めてやし怖い。
感じたことの無い恐怖に取り込まれそうになる。
新山「…好きやで。石井…」
新山の暖かくねっとりした声が俺を助けてくれてる、そんな気がした。
薄暗い埃っぽい部屋。
一面に俺の塗りつぶされた顔。
そして、もうすぐ抱かれる俺。
あまりにカオスな状況に俺も笑ってしまう。
新山「…石井」
石井「…何やねん」
新山「…ありがとう」
その一言と同時に、俺の中に何かが入ってきた。
石井「んぁっっっ…ぁぁぁっ」
痛い、痛い痛い痛い痛い
目の前がチカチカする、怖い。
俺の初は意外とあっさり終わった。
新山「…激し、すんでっ」
俺のことを考えつつも、俺よりも余裕のない新山を見て、少し可愛いなんて思ってしまった。
そんな風に思う俺も、頭おかしいんやと思うわ。
ただ、俺はこいつから愛を向けられたかっただけなんかもしれへん。
その方法を間違えてしまってるだけで、今俺の願いは叶ったんかもしれへん
石井「あっ、あぁぁぁっ」
新山「石井っ、好きっ、好きやでっ…」
普段はスカしてる癖に、今だけは素直な新山に俺は微笑む。
石井「…っ、新山っ…俺もっやでっ」
新山「石井…!?」
新山が驚く。俺も自分で自分の口から出た言葉に驚いた。
何言ってるんやろう、死ぬほど後悔してる。
その後悔が、新山と俺の中の快楽を生み出す。
もう…ええやんな。
俺も、楽になったってええやんな。
新山「ほんまに、好きやで。」
──ドピュッ
こいつの汚れと想いが俺の中に吐き出された。
新山「…なぁ、もう一生はなすつもりないけどええ?」
石井「…」
この言葉、前に一度だけ言われたことがある。
話すつもりない、やとずっと思ってたけど
今は別の解釈をしてしまう。
離すつもりない…こう思うのは俺が自意識過剰なせいなんやろか。
新山「…どないなん」
石井「…ええよ」
あぁ、あかんな俺。
こうやって、こいつに溺れていくんや。
こいつにはこうなる未来まで見えてたんや。
新山「…やっぱり、お前のこと好きやわ。」
俺が断られへんのを知ってるこいつに、俺はのせられたわ。
新山「愛してんで。石井。誰よりもな」
石井「ありがとう。」
この暗い部屋のカーテンが閉められた。
俺たちは、またベッドへ向かう。
きっと、もうお互いに離れることなんてでけへんのやろう。
────あぁ、幸せやなぁ。
END.
謎オチほんまに申し訳ないです。
私、共依存が大好きなものでして。
駄作になりましたが、いいねよろしくお願い致します。これからもお付き合い下さい。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!