第5話

#6
1,280
2023/03/25 14:07
【魔法】
後藤×福徳

⚠️死ネタ注意
⚠️メリバ
〈後藤side〉



可愛い。今日も可愛い。
今日も、そう呟きながら俺は相方の肩に顔を埋める。



後藤「はぁぁ…落ち着く」
福徳「なんしてんねん!笑」
後藤「いや、お前ほんま可愛いなぁって笑」
福徳「お前はほんまいっつもそれやなぁ!?笑」
後藤「やって、お前ほんまに顔がいい、性格も何もかも良いけど、やっぱり顔がいい」
福徳「顔しか見てへんやんけ」
後藤「ええやん、そんくらい顔が好きなんや」
福徳「性格ももっと褒めてくれるか?笑」
後藤「考えとくわ笑」
福徳「おい!笑」



いっつもいっつも、こうやって遊んでくれる。
何をしててもいつも一緒。
どんな時でも、どんな場所でも。



いつの間にか、俺たち二人が一緒にいることが当たり前になった。


正直むちゃくちゃ良い。変に友達とおるよりよっぽど楽やし楽しいし。



俺、こいつがおらなホンマにやっていかれへんのやと思うわ。

知らん間に、友達・相方という存在から、





────好きな人に変わった。




分かってんねん、自覚しとる。



後藤「…なぁ、」
福徳「なんや?」
後藤「このまま、二人だけの世界になったらどうする?」
福徳「なんや急に笑、二人だけの世界??うーん、想像つかんな!笑」
福徳「……でも、お前と二人の世界も、悪くないんかもな笑」



ほら、こいつ。やっぱり言うて欲しいこと分かってる。

やっぱりやっぱり、お前のこと



好きやわ。



後藤「二人だけの世界…作ろか。」
福徳「ん?なんて?すまん聞いてなかった!」



俺は、こいつの顔を見ながら、そう決意した。



…絶対、誰にも渡さへん。



きっと俺はこいつに完璧に

〝依存〟してもうたんやと思う。



純新無垢なお前福徳、何も知らんお前がこれからどんな顔をして過ごすんか、俺には想像もつかん。


でも、俺と二人を…望んでるんやもんな?


俺には、魔法が使えるねん。
素敵な素敵な魔法が。


上がる口角と共に、気分も上がっていくのがわかった。
今日は少し月が欠けている。そんな風情ある夜だった。
ーある日ー



ついにこの日が来たんやな。
ついに、ついについに。

前から計画してきた。失敗するわけにはいかん。



後藤「…待っててな、福徳。俺お前のために頑張るからな。」



二人で…ずっとずっと二人でおれるところに
今日でやっと行けるからな。これで誰にも邪魔されへんからな



福徳「おはよう、今日早いやん」
後藤「おはよう」
福徳「なになに?笑、どないしたん、そんな真面目な顔して」
後藤「…なぁ」
後藤「お前の願い、叶えたるわ。」
福徳「は?なに急に笑、願い?なんか言うたっけ?俺」
後藤「…ずっとずっと一緒やで。」
福徳「何ほんま笑、え、怖いって笑」
後藤「…俺にはお前だけおればいいんや。お前にも、俺だけおればいい。」
福徳「何言って…んっ、?」
後藤「……ほら、とろけてくるやろ、な?」
福徳「ちょ、ほ、何してっ…」
後藤「顔がだんだんとろんってしてきてるで」
福徳「な、何してんっ…」
後藤「…ちょっとだけ、何も考えれんように、な?」
福徳「…あかん、ふらふらする、」
後藤「俺に身を委ねてくれたらいいで。」
福徳「……んん…」
後藤「かわい。」



こうなって欲しかったんや。ずっと。ずっとずっとずっと。



後藤「最初から、俺だけに全てを見して欲しかったんや。」
福徳「…ごとぉ…」
後藤「…もう少しでつくから待っててな。」



俺の車の助手席に、朦朧とした福徳を乗せる。

魔法。これは魔法や。この魔法はこれから俺達を楽園に連れていってくれる。



ぼーっとした福徳を車から下ろし、俺の部屋に移動させる



後藤「…これで、これでやっと、俺たちだけの空間に行けるんやな。」
福徳「……」
後藤「…可愛いなぁ。ほんまに。」
後藤「…なんでこんなに可愛ええんやろ。大好きやでぇ…」


こんがりと焼けた黒い肌に口を落とす。
チュッ、と軽いリップ音が響く。

ほんまに、こいつは綺麗な顔しとるわ。



異性に生まれてこれたらどれだけ良かったか。


無意味なことを考えながら、髪を撫でる。





その瞬間に俺は同じ魔法を飲んだ。



後藤「来世は、絶対結ばれるからな」

叶わへん願い。来世では、少しでもお前と一緒におれたらええな。そんな儚い俺の願い。



後藤「…ほんまに、愛してんねん。福徳。」
後藤「誰よりも…誰よりもや。」
後藤「もう、離さへんからな。」




神様はなんて酷くて残酷で…美しいんやろう。



視界がプツッと暗くなった。



〝今朝のニュースをお伝えします。成人男性二人が部屋で倒れているのを発見され、119番通報されました。〟



このニュース、また流れとるわ。



〝男性二人は、人気タレントジャルジャルのお二人であることが分かり……〟
〝福徳さんは命に別状はなく、後藤さんは意識不明の重体とのことです。〟


…はぁ、アホやなぁあいつ。


〝なお、後藤さんの部屋からは大量の«薬物»が見つかったとのことで、警察は事件との関連があるとみて捜査中との事です。〟



福徳「…なんでこんなことしてん…」



ほんっまに、ほんまにあいつはアホやで。
最後の最後まで、アホやで。
こんなことしやがって。



俺は手元にある1枚の紙を手に取った。



『福徳へ

ごめんな、こんなことに巻き込んで。
どないしても、どないしてもお前のことが
好きやねん。もう、止められへんねん。

お前と二人でおることが、俺の1番の幸せやと
気づいた時には遅かったんや。

ごめん、ごめんな。こんな相方で。
お前を殺して、二人だけの世界に行きたかったんやけど、俺にはどないしてもできひんかった。

ただ愛してるんや。

後藤』



福徳「…なんで、ちゃんと伝えてくれへんかってん。」


溢れる雫は止まることを知らない。
俺は紙を握りしめた。



福徳「…俺やって、お前だけが……お前だけが希望やったのに…」



そう、最初から。出会った時から、俺たちは

ずっとずっと結ばれてたんや。
もう声は届かへん。片割れがおらんくなった俺に、意味があるんやろうか?それさえも分からへん。



それでも、お前の気持ちは俺が一番よう知ってんねん。

お前が…
ずっとずっと、俺のことが好きやった事。
ずっとずっと、俺と付き合いたかった事。
ずっとずっと、性別の壁に悩まされてきた事。


ずっとずっと、俺のことを考えてくれた事。


お前のことなら、なんでも俺が知っとる。
ずっとずっと一緒やったから。

お前のことが誰よりも大好きやったから。



福徳「ずっとずっと一緒やからな。俺もずっとずっと、お前が好きやからな…」



病室に、小さな一言が響いた。



そうして、俺はたくさんの魔法を飲んだ。


待っててな、後藤。俺も、俺もお前のおるところに行かせてくれ……


ぼやける視界と共に、お前の笑顔だけが浮かび上がった。

最高の相方と、最高の最期やな。






⚠️過剰摂取禁止、睡眠剤⚠️
すみません、綺麗な死ネタも好きなんです。
地雷の方は、回れ右してくださいね💦(今書いても遅いかもしれない…)

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