第4話

#5
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2023/03/22 01:23
〈??side〉



────2014年5月

僕達はコンビを組んだ。
今でも忘れないよ。あの時の嬉しさは。

お前と、やっとお前と、一緒にお笑いが
できるって。それだけが願いやったから。



────しばらく経って。

やっぱり、お前と何かをするのが1番楽しい。
何をする時だって、ずっと一緒だよ。
だって、僕達〝相棒〟じゃないか。

でも僕、最近気になることがあってさ。
身の回りが散らかってきたなって。

だからおかたづけ。しなきゃなあ。



────2017年

しんどいこと、いっぱい経験したね。
お前も僕も、精神的に不安になってきて。
解散の危機にも陥りかけて。

でもお前は僕を見捨てなかった。
僕のこと、信頼してるって言ってくれた。



────2019年

僕たち、初めて賞レースで準優勝した。
本当は、優勝の文字を掲げたかったけど
やっぱり、お前とできることに意味があるんだなって。そう改めて思えたよ。ありがとう。



────2020年

躍動と感動の年。ついに、僕たちの勢いが皆さんに認められてきた年。
長かったなぁ。ここまで来るの。お前とだから乗り切れたんだ。もう、この相方は生涯離さない。そう、心の中で1人で誓った。



────2021年

ちょっとずつメディアに出ることが増えてきて。お互い忙しくなってきた頃。それでもどれだけ時間が経っても、僕はお前を忘れたことはないよ。

でも、最近ゴミが増えてきたかな。そろそろおかたづけしないとな。



────2022年

僕たちの努力の集大成の年。僕は顔が良いらしい。ファンの人がそう言ってくれる。
でも、お前が褒めてくれなきゃ意味が無いんだ。

…最近、お前の周りのゴミ、増えてきたよね?
もう、しょうがないな。やっぱり僕がおかたづけ、してあげなきゃな。



────2023年。


1番盛り上がってる年。これからどんどん僕たちの人気は上がっていく。幸せ…しあわせ…シアワセ?
………人気の出ることが、僕たちの幸せなんだろうか。
お前と、二人で何かができることが僕にとっては本当に幸せな時間だったと思う。



アレ?僕って、何を求めてるんだろう。



お前お前って…いつも気付けばお前ばっかり意識してさ。
一体、何が僕にとっての幸せ?




あぁ、あぁ。僕はどうしたらいいんだ。
何が、何がいけないんだ、何が足りないんだ。
どんどん不安に陥っていく。不安でたまらない。




僕は、僕は………















そういえばさ。お前の周り、ゴミだらけだよ。
僕がいないとお前は本当にダメだなぁ。笑

いいよ、僕がおかたづけ、してあげるから。





でも、お前は僕が見守ってあげないと何も出来ないから、ずっと見守っててあげるよ。




ほら、夜道を一人で歩くなんてさ。
なんて危機感がないんだろう。


夜道の危なさ、知らないんでしょ。
危ないゴミがいっぱいあるかもやし。


僕が見守ってあげるから、安心していいよ。







今日は、走って帰るん?
なんでまた笑、ダイエットかな?
別に太ったりなんかしてないのに…

まぁいいや、僕も付き合うよ。
でもこれまで走ったりしなかったのに。


……なんなんやろう。

まぁいいや。そういえば、今日はお前と話せて嬉しかったなぁ。なんか悩んでるぽかったけど、そんなゴミ、僕がすぐ処理してあげるからね。




────深夜

あ、このお花屋さん、まだ開いてるんや。

…へぇ。この花、妙に気になるなぁ。
惹かれるなぁ。いいなぁ。

これ、買おう。

それと、今日はたくさん可愛い写真撮れたからお前にも見せてあげる。僕のお気に入り。


…お前の家。いつ見ても汚れてなくて良い。

ゴミが溜まるのは楽屋だけで充分や。

いつか、僕とお前だけが過ごせる空間になればなぁ…なんて笑


────翌朝

お前が休みをとるなんて珍しい。
何があったんや、きっと単なる体調不良やない。

僕が何とかしてあげないと。
お前を守ってきたのはいつも僕。
僕がいないとあかんのやから。ほら、僕の声を聞いて安心してる。

やっぱり、僕じゃないと。ダメなんだね。





────なんで?なんで開けてくれへんの?

僕はもう目の前にいるのに。この扉を開けるだけでいいのに。何で???

あぁ、そっか。もう外のゴミに懲り懲りなんだ。
僕以外、何も見たくないんだよね?

…いいよ、僕がそんな世界を作ってあげるから。



僕と、お前しかいない世界。
2人だけの空間を作ってあげる。
どんなゴミにも邪魔されない綺麗なところ。




──ガチャっ



永見「ずっとずっと見てたんだ。」





見守っていてあげたよ。ずっと。

ほら、行こうか。僕達のいるべき場所に。



永見「もう、逃がさへんよ。」




…ふはっ

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