視点なし
その日は裁判が行われていた。
竈門炭治郎。鬼を連れた少年の。
禰豆子は御館様公認の鬼であったことが分かり、風柱の稀血にも耐え、その鬼を認めるしかなかった。
その時。鈴の音がなった。いや、風の音がそう聞こえただけかもしれない。
凛とした声が聞こえた。
誰もが驚き、声のする方を向いた。
すると、この世にいる人とは思えぬように美しい人がたっていた。
髪は深緑。
着物は藍色。口元に当てている扇子は深緑と藍色。
伏し目がちの目が開かれれば、その場にいる皆がうっとりした。
美しく立つその姿はさながら天女のよう。
目が見えぬ産屋敷耀哉、御館様がそう聞いた。
目が見えぬともその声、気配でうっとりしていたのだが。
質問に質問で返したその女はどこか懐かしそうに御館様、産屋敷を見つめた
誰もが驚いた。姉さん?耀哉?
なぜ目の前の女は御館様を呼び捨てにしているのか。
御館様はその女を姉さんと呼んでいるのか。
またしても誰もが驚いた。
鬼のような独特の気配がない。
そう思っても所詮は鬼。
その場にいる柱達が刀を抜いた。
しかし、岩柱だけは戦おうとしなかった。
刀を首もとに当てようとするが、軽々と避けられる。
風柱が、
そう吐き出し、刀をもう一度振るった時、
凛とした声が屋敷に広がった。
そういい、産屋敷に近づいた。
当主に近づいているにも関わらず、誰一人動けない。
産屋敷の前に座りそう言った。
「あの方から逃げだした上弦の零」
上弦の零と聞いても誰も動けない。
金縛りのよう。
その女は岩柱の方へ近づき、抱きしめた。
産屋敷邸に泊まると決まり、一件落着かと思いきや、
ザシュッ
そう言って風柱は自分の腕を傷つけた。
その女は心底意味がわからないとでも言うような顔をしていた。
それから、風柱はその女の肩を刺した。
その女は稀血を耐えることよりも、風柱の刀が肩に刺さっていることが嫌なようだった。
刀を肩から抜くと、
そう言った。
そして、
血鬼術を使った。
すると、風柱の傷がみるみる塞がっていく。
産屋敷と岩柱以外の皆が驚いた。
何故そんなに対応の差がすごいのか、と
すると、産屋敷が
「昔色々あって男の人が嫌いなんだ」
と教えた。
色々あったが裁判は終わった。
炭治郎が頭突きをしたいと言った時、その女はケラケラ笑いながら
と言ったそう。
山葉月あなた
美しい。後でイメ画載せるかもしれない。
深緑の髪。
藍色の着物。帯は深緑。
扇子は深緑ベースの藍色が少し入ってる。
昔色々あった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!