時間はあっという間に、深夜。
お化け達も、学校内に遊びに行ったりと
唯一と言って良いほど静かな時間。
きっと、そろそろ“あの子“が来る頃だろうか?
『前回と同じならば』
ほらね、来た。
口にタバコを咥えて火をつけた所だ…
もう少し、ゆっくりでもよかったけれど
彼は、リリア。
人ではなく妖精族…
だから人間と時間感覚がまるで違う。
私を覚えている数少ない存在であることは確か…
と言ってもリリアが私のことを覚えているのは
“この学園の外“で、生きていた時の事。
ツイステットワンダーランド内での話ではあるが
時代はあまりにも違う。
そもそも、その当時は、この学園が
存在していたのかさえ分からないが…
とにかく、リリアは私にとって
そして同時に彼にとっても…
“深い絆“
が存在し、認識し合っている。
私にとって、唯一「手助け」を頼める存在であり
『本当の話』が出来る相手でもある。
まぁ、この学校にいる限り
彼もまた『忘れてしまう』1人になってしまったわけだが…
それでも…特別なことに変わりはない。
久しぶりに会うはずのリリアとの話は
とても軽快で、離れていた時間が嘘のようにも感じる。
なんだかんだ、こうやって…
触れ合いの中で得る温もりには逆らえないのだと
改めて思う。
それが『苦しみの全て』だとわかっていたとしても
カビくさいベットで丸くなって眠ってしまった。
リリアを見ながら、明日からの日を思う…
懐かしい顔ぶれとすれ違っては
「なんだコイツは」「馴れ馴れしい」「呼び捨てにするな」
と、顔や態度、もしくはそのままの言葉で
表現されてしまうのだろう…
胸を握りつぶされる感覚を
とりつくろって
とりつくろって…
また「初めまして」から始まる。
自分のモノのように、呼びかけてくれていた
“あの時“の“彼ら“は、もういない
ただ、同じ顔をして
同じ悩みで壊れそうになりながら
必死に両足で踏ん張っているだけの…
パペット…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。