第12話

幕開け
140
2021/02/15 14:01
オンボロ寮に帰ると
グリムとユウの姿はない。
朝食をとりに食堂に行ったようだ

足速で部屋に帰ると、リリアはまだ眠っていた
この部屋は夕日はよく入るが、朝日は影になって
カーテンがなくてもリリアにとっては気にならないようだ…

そんなことは、どうでもいい

スヤスヤと幸せそうに眠るリリアを叩き起こす
少々、手荒いが仕方がない。
主人公
主人公
起きろ、リリア!!
リリア
リリア
むっ…
主人公
主人公
起きろ…
リリア
リリア
んん〜…
主人公
主人公
リリア…
リリア
リリア
主人公
主人公
なるほど、怒らせたいか?
リリア
リリア
起きました
リリア
リリア
なんじゃ…まだ、朝ではないか…
主人公
主人公
そういう事は、どうでも良い
リリア
リリア
どうした?お主がそのような顔をして…
主人公
主人公
リリアが覚えている
私との最後の記憶を教えろ
リリア
リリア
む?最後?
昨晩のことではなくか?
主人公
主人公
そう、違う。
明確に「最後に会った時の記憶だ」
リリア
リリア
はて?それは、いつだったかの?
突然現れるのでなぁ〜あなたは…
主人公
主人公


(やはり、この学園での事は覚えていないか)
主人公
主人公
もういい、時間がかかる
…二度寝に戻っていいよ
リリア
リリア
む?そうか…
思い出しておこう
主人公
主人公
どうも
主人公
主人公
パチン(指鳴らし)
主人公
主人公
じゃぁ、私は初登校してくる。
おやすみリリア
リリア
リリア
うむ、良き学園生活を!!
リリア
リリア
おやすみ〜
彼は相変わらずだ。
まぁ、それがとても居心地いいのだけれども
しかし…ますます厄介なことじゃないか

今まで、こんな事は有り得なかった

ありえない事が起こるのが、この
ツイステットワンダーランドではある。

だが、それは
あくまでも『手の内での事』で
「許される」範囲内でしか、あこりえないはず…

ならば…

ヴィルの記憶は「許された」と言うことになるのか?

ヴィルは、全てを思い出したわけではない
あくまでも一部であるなら
『そちら側』が用意した変化は最小限ということか?

謎解きは苦手なのに…
毎度こうやって遊んでくる奴には、嫌になる。

いつもの手順で進めていくつもりだったけれど
それではダメかもしれない。

今日は登校初日だ

とりあえず授業は真面目に受けて
接触出来る人物とは、会っておいた方が良さそうだ

正直、気が乗らない。
だが今回ばかりは自分のペースと言う訳には
行かなそうだ…どうやら…

グリムとユウ

あのコンビが今回、重要である。

ならば、彼らに合わせる必要が出てくる…
人に合わせるなんて、一番面倒くさい事だってのに
それを率先してやらなきゃならないなんて
最悪だ。

とりあえず、常に観察出来るようにしておきたい。

場所だけでも分かるように
周囲探知魔法で、あのコンビに印をつけておこう
学校の外に出られると追えなくなるかもしれないが
学校内であれば、私の探知魔法は機能する。

この世界に来て、一番最初にするのが
探知魔法を仕掛けるという事だ。

いつ、何が、誰が、どうするか

把握しておくことは重要。

『手遅れになってしまっては意味がない』

学校の大体の場所なら、空間魔法で十分
移動には困らない。

まぁ、これらの魔法は
『この世界のモノではない魔法』なので
人目につくと、厄介ではあるけれど

アイテムボックス程度なら
聞いた事はないが便利な魔法
つまり

私のユニーク魔法

として認識されるので使える。
それ以外は、なるべく認知されてはならない

この世界の魔法は
正直、あまり使わない…
使わずに蓄積させておくのだ、この体に

それ故に

クロウリーを始めマレウスやリリアも
私には口を出せないと言うことだ
まぁ、まず身体能力が違いすぎるんだけれども


主人公
主人公
D組…ここか
いつもと違うクラス
本来なら、エース達と同じクラス
そこにユウとグリムがいるでの
やはり、あのコンビは

「鍵」になるか
もしくは「鍵を使う者」になるかだ

躾をしておくと言ったまま
眠りこくっているリリアが私の部屋にいる

今日ばかりは、セベクのマレウス様話を
我慢して聞いてやらんばならない
主人公
主人公
…はぁ
まだ教室には誰も来ていない。

昨日、渡された教科書を置いて
窓際の席を陣取った。
ここからは運動場や正門もよく見える

見なくても大体は把握できるけど
それが身につくと
無意識にやってしまうので
なるべく魔法に頼らず、体で見るように
癖をつけておく必要がある。

と言っても
常に5メートル範囲は探知するのだけれど
これは「念のため」だ。

正門が賑わいだし
足音が徐々に近づいてくる。

教室にチラホラと生徒が集まりだし
こちらを見てはボソボソ話す
(全部聞こえてんぞモブども)

セベクも登場した。

…目があった…

何やら考えている様子だ

マレウスから何か聞いたか?
さてさて、どうなるかな?

めっちゃ見てくる…
アイツが無言なのも、それはそれで嫌だな

無言で隣に座った…
何を考えているのやら…まぁ騒がしいよりマシか?
後で文句を言われないといいが
セベクはマレウス信者ではある、それでもしっかりと
己の考えを持っていることも事実だ。
配下としての在り方に囚われすぎているだけだ…

配下か…

良いお手本はジャミルだが、彼が知ると
なんて思うだろうか?
そうなりたいセベクとそうなりたくないジャミルでは
正反対なのにも関わらず…ジャミルのあの完璧さ

どいつもこいつも

全く持って嫌気がさす…

こんなにも歪んだ世界だと言うのに

真っ直ぐで
純粋で
ひたむきに必死で

優しさを偽らず
怒りに素直で
苦しみを隠して
ただ楽しもうと

生きる

汚れを知らない。

この学校は、そんな奴ばっかりだ
そんな奴ばかりを集めて
何をしたいって言うんだろうか?
嫌気がさす。

白を黒に塗るのが好きか?

黒を白に差し替えるのが好きか?

子供達を集めて何を作り上げたい?

やっぱり…この世界は好きじゃない。
他の世界はもっと単純だ。

黒は黒く
白は白く

その間のグレーであたふたしていればいい

さぁ

どうする?

今回は、何度死ぬ?
何度、繰り返す?

そして…どうやって、彼らを

救えるだろう?

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