オンボロ寮の2階にある一番奥の部屋
そこが私の、お気に入りだ。
ここから見える景色が、単純に好きだから…
変わらないものは、いつだって胸を締め付けるけれど
唯一「景色の美しさ」だけは変わらず愛おしい。
体の中にある魔力に集中する
全身を走り回るエネルギーは
答えるように、内側から外へと漏れ始める。
『この世界』の魔法は『イメージ』によって操れる。
想像力は、どの世界だろうと力の源
想像力だけが、人を進化させ時代を動かし、変化を作るもの
部屋の中で踊っている埃の一切をかき集めて
一つの毛玉にする『イメージ』。
それが出来たら、傷んでボロボロの床や壁を
強く鍛え上げて、強度を上げていく『イメージ』。
壊れた家具は、元の姿に戻るよう『イメージ』する。
カビや汚れを浮かび上がらせて
集めた埃と一緒にブラックホール
に吸い込まれていく『イメージ』。
割れた窓も
ひびの入った壁も
底の抜けた床も
新しいパーツを『イメージ』して
くっつけてあげれば綺麗になる。
ボロボロの部屋は
みるみるうちに、片付けられて
あっと言う間に、しっかりとした一つの部屋になる。
十分に人が住める程度にまでは修復出来た。
部屋も綺麗になったし
お化け達とも、ご機嫌な挨拶が出来た
スタートは、まぁ上々なんじゃないかな?
お化け達に先導されて
階段を降りる。
談話室から話声が聞こえ
2人のお化けと向かう。
この世界で一番便利な、低級魔法は
「着替え」かもしれない
それなりの魔力制御が出来るものなら
誰でもが使える。
魔法の使い方は、人それぞれだが…
杖を使ったりが安定しやすいらしい
私の場合は、手を叩く、足を鳴らすなど
特に簡単な魔法は指を鳴らせば
魔法が発動するように『イメージ』を
繋げている。
そうして、自分の中で『イメージ』を繋げておくと
魔法発動の時短にもなり、同時に
音で具体的な『イメージ』をしやすくなるから。
ユウとグリムに手伝ってもらって
大量の教科書などを部屋へと運んでいく。
お化け達は、その周りで
何やら賑やかにして時々、グリムが文句を言ってたり…
部屋にたどり着いた2人?は
目を丸くしていたけれど、それを他所に
もらったモノを片付けられる場所に収めていく
そのうち、本棚を作ろう!!
ある程度のモノを片付いた所で
グリムの空腹が限界にきた
私には、関係ないので、食堂へ向かう2人?を
見送って、1人になり部屋が広くなった感覚に浸る
ベットのシーツは古いままだ…
これは新しくしておく必要がありそう
寝ないとはいえ、横になったりする場合もあるだろう
ま、主に寝たフリのために、になるんだろうけど
今すぐしてしまっても、いいんだけど
急に変え過ぎるのは良くなさそうだ…
こういう時、やっぱり1人が気楽で良いなと思う。
夜になると“あの子“が来るだろうから
窓が開けられるようにだけは、調整しておこう。
後は、時間に身を任せるだけかな?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。