しかし、現実は否応なく現実だ。
私は重いため息をついて職場へ行った。
楓はそんな私を見て、
と言ってくれた。
気遣ってくれているのが痛いほど感じられて、
思わず、
と言ってしまった。
楓は嫌な顔ひとつせず、
なんて優しい子なんだろう。
不意に涙が零れそうになって
慌てて瞬きをした。
情緒不安定になってるよ、私。
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いや多いわ。
いくら今が忙しい時期とはいえ、
いっぺんに3つも仕事こなせるかっての!
ここはあの救世主の出番のようですな。
私が楓に資料を手渡そうとした時……
圧が……
これはやばいやつかも。
楓が申し訳なさそうな顔でこちらを見た。
これは為す術がないからしょうがないよ。
そんな気持ちを込めて軽く頷く。
これで何も言い返さなかった私、
偉いと思わないですか?←
こんな調子で叱られていると
だんだん職場全体の空気も悪くなってくるのを
肌で感じる。
私だって好きで怒られてるわけじゃないよ。
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帰り道、楓が改まって謝ってきた。
いい子だけど、あんまりしつこいのは
好きじゃないよ(*^^*)←
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。