人生の中では少しの間だったのかもしれない。
だけど、すごい濃い時間だった。
世界が、変わって見えた。
楽しかった。
だから、最後だけは笑って別れたかった。
ごめんね、
ありがとう。
足が力を無くして、私はぺたりと座り込む。
そこで、私の意識は途絶えた。
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
誰かの声がする。
聞き覚えのある、懐かしい声______
あれ、だんだん近づいてきてる?
いきなり声が明瞭になった。
大声で目が覚める。
見覚えのある天井。
なんで私ここにいるんだ………?
さっきの声の主の姿を確認した瞬間
私の目から涙が溢れた。
そこには、心配そうに私の名を呼ぶ壮馬の姿があった。
さっきまでの絶望感が蘇る。
私は思わず叫んでいた。
壮馬はいきなりの私の発言に呆気にとられている。
とにかく、この不安を解消したかった。
壮馬は私の手を握ると、ゆっくり、諭すように言った。
その言葉を聞けて安心したのか、
昨夜何度流したか分からない涙が溢れた。
でも、同じ涙じゃない。
これは、嬉し泣きだ。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。