犯人が分かったところで解決策が見つかるはずもない。
壮馬も必死に頭を悩ませてくれているけど、
いいアイデアは浮かばないみたいだ。
私のせいだ。
私が悪いんだ。
私が_________
出版社なんかに就職したから………
結奈に本当のことを言っていなかったから…………
壮馬と付き合ってしまったから………
手のひらを強く、強く握りしめる。
やっぱり、釣り合っていないんじゃないか。
私なんかが付き合っていいはずなかった。
迷惑ばっかかけて、友達の気持ちも考えられなくて
見捨てられて…………
『後悔のないように行動しよう』
楓の言葉が蘇る。
こんな私だから、、
いつか、きっと、
壮馬に見捨てられてしまう。
『もうあなたのこと嫌いだから。』
そう言われる時がくる。
その時、私はいつのことを後悔するだろうか。
今日のことを思い出すのだろうか。
そして、後悔を、するのだろうか。
爪が強く手のひらにくい込む。
痛みを感じるどころではなかった。
1人になるのは、怖くてたまらない。
だけど今の私は、
失うことの方が怖かった。
これ以上、迷惑をかけたくない。
相手から見捨てられたくない。
後悔、したくない。
だって、大好きだから。
⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!