私たちが職場へ戻ると、その場は騒然としていた。
楓が逃げ出したことは、かなり衝撃的だったらしい。
楓はもう吹っ切れたらしく、上司に元気よく
謝っていった。
なんでこんなに突っかかってくるの?
私に何か不満でも?
何が不満なのか知らないけど、
私にだけ当たりが強くなっている。
さっき、何があったのだろうか。
それとも、
私から嫌いオーラが出てるのを谷森が
察したのだろうか。
とにかく面倒臭いな……
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上手くいかないな…………
さっきから幾度となくこちらへの視線を感じて気が散る。
みんな私が谷森に嫌われていることを
感じたのか、会話の歯切れも悪い。
そして楓を贔屓し始めているように見えるのは
私だけだろうか。
私への見せしめか、楓を贔屓し始めたから
私のことが気に入らないのか。
いけないとは分かっていても、何も知らないで
褒められてにこにこしている楓にもイラついてしまう。
今日は気分転換しようかな。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!