[あなたside]
季節はあっという間に冬。
私はうらぶれた日々を過ごしていた。
後悔しては泣いてを繰り返す日々は、
もう過ぎ去った。
壮馬との思い出を見返してはため息をつく。
どんなに鮮明に覚えていたって、やがては
色褪せる。
だけど、壮馬を想う気持ちだけは色褪せない。
いつまでも、心に張り付いて離れない。
そんな成就されない想いを抱えて生きていると、
だんだんと世界が色を無くしていく。
ただ時間が過ぎ去っていくだけ。
1人の人生が…………
いや、壮馬がいない人生がこんなにも
つまらないなんて。
こんな人生に意味はあるのだろうか。
[壮馬side]
あなたがいなくなってから、俺の人生は
とことん味気ないものへ変貌した。
仕事の精度もかなり落ちている気がする。
仕事とプライベートは本来切り離して考えないと
いけないのに。
こんな風に、みんなに心配されてしまう始末だ。
心配してくれている皆を見て、いたたまれなくなって
「あなたと別れた」
ということだけ話した。
みんなは気を遣ったのか、それ以上
詮索してくることはしなかった。
どうしたらこんな日々から抜け出せるのか。
そればかりを考えていたある日。
微笑んだ彼女に、俺は光を見つけてしまった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。