嘘でしょ……………
どこまで会社の利益のことしか考えてないの、この人。
なんとかして、この状況を打開する方法を
考えなければ………
やはりこの事はよっぽどのことなのか、
いつもなら私の仕事に猶予など与えない谷森が
承諾したのに私は少し驚いた。
谷森はそう言い残すと例の写真をひらひら
させながら出て行った。
さて。どうしようか。
これはとても1人で解決出来るような問題ではない。
しかも、私は1人で抱え込もうとして失敗したばかりだ。
一番手っ取り早いのは楓か。
会社の事情も私の立場も知っている。
あとは真帆ちゃん。
嘘の噂でも考え出してくれるかもしれない←
この2人は本音を話したあとだから信用できる。
他、相談できるのは壮馬。
『1人で溜め込まないで』って言われたばっか
だしなぁ……
迷惑かけることは確実だけど…………
とりあえず犯人探しは後回し。
私は3人に相談することにした。
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電車の中、私は小声で楓に相談することにした。
私が簡潔に伝えた瞬間、楓が愕然とした
表情になった。
そう、だったのか………
だからなのか。
きっと楓が会社を逃げ出した時、あの時に
伝えられていたんだ。
だから戻った時にあんなに騒然としていたし、
視線を感じた。
だから、楓は知っていた
これで全てに合点がいく。
納得した後、私は複雑な心境で楓に
谷森に言われたこと全てを話した。
隣でにっこり笑ってくれた同期に、
心の底から感謝した。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。