しーん
あれ?
いつもなら家に居るはずなのにな………
こういう時もあるかぁ………
今日はいいことないなぁ………
居なかったのは仕事だろうからしょうがない。
一応寝る準備をして、待っていることにした。
***********************
トントン
誰かに肩を叩かれて、はっと目覚める。
迷惑をかけてしまうという気持ちと
江口さんに話せなかったときの後悔が
同時に押し寄せてきた。
後悔はしたくない。
思わず涙が零れた。
こんなに寄り添ってくれる人がいて、
私はなんて幸せなんだろう。
ピピピピッピピピピッ
目覚まし時計の音で目が覚めた。
もしかして、さっきのは………
夢か……………
希望と落胆の繰り返し。
壮馬は帰ってきていたけれど、
わざわざ起こして話を聞いてもらうなんてこと
思いつかないほど、どん底の気持ちになってしまった。
急いで支度をして、玄関のドアを開ける。
この現実が、全部幻だったらいいのに。
⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!