[壮馬side]
あなたからそう言われた瞬間、体に電撃が
走ったような衝撃を受けた。
今日の朝までは普通だった。
いつものように会社へ向かっていったのに………
あなたは断固として自分の言ったことを
変えようとしない様子だった。
あなたがそんなことを言い出すなんて
信じられなかった。
信じたくなかった。
思いがけず、あなたの瞳が揺らいだ。
………もしかして、本当は、、、、、
なんとなく、腑に落ちた。
原因は谷森とやらだな。
あなたは人一倍責任を感じる性格だし、
俺と一緒にいるのが辛くなったのかもしれない。
「自分がいなければこんなこと無かったのに」
とか、思ったのかもしれない。
静かに俯く。
本当は今すぐに引き止めたかった。
行かないで。
離れないで。
って。
だけど、今無理やり止めたところで、きっと
あなたは苦しいだけだ。
このまま一緒にいても、あなたが辛いだけだ。
それが分かってしまったから、何も言えなかった。
そんな、心にもないことしか言えなかった。
本当は嫌なのに。
心のどこかで、「やっぱり別れたくない」って
言ってくれるんじゃないかって思った。
自分はあなたのことを心から想っていたし、
あなたもそうだと思っていた。
………結局いつも人任せだ。
自分から行動を起こせないことにやるせない
気持ちになった。
だけどあなたの嫌がることはしたくない。
あなたが傷つくことを自分がしでかすんじゃないかと
怖いのだ。
これは言い訳、じゃないから…………
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。