一通りステージ上で語ったあと、
あの滅多に泣かへんしげが
ファンの前で声を上げて泣いた。
ややこしいけど、あなたは死んでへん。
あの日、俺らがあなたと過ごす最後になるはずやった日。
確かにあなたの心臓はゆっくり止まりよって、
体の温もりもなくなっていった。
でも急に、かすかに小さな心臓の音がしげには聞こえたらしくて。
" っ、救急車っ、!!! "
" ... こいつ、、まだ生きとるかもしれへんっ、 "
そう言われた時、さすがやなって。
あなたって只者じゃないなって思ってん。
絶対に助からへんと言われていたあなたが、今も俺らの人生に存在しとる。
せやけどな、
俺らのことは、綺麗さっぱり忘れてしまった。
後遺症が残って、脳にダメージがあって。
むちゃくちゃやろ??
あの日から、俺らが喋りかけても反応なし。
笑いもしてくれへん。
確かに、今の俺らの人生にあいつはおる。
けど、
昔のあなたは、どこか遠くに行ってしまったんや。
星になったんか、まだ雲の上におるんかは分からへん。
けど、昔のあなたはここにはおらへん。
" 来世でもパパたちに会いたい "
その言葉を残して
俺たちの背中を来世に押して
静かに消えてしまった。
ステージ上で泣きじゃくる相方。
しげの言葉を聞いて裏で泣いとる俺ら。
ほんまに、
しげの言葉って
人の心の中にドストライクに入ってくる
不思議な力をもっとる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。