ピッ ピッ ピッ
無機質な音が鳴り響くICU。
こんな部屋に重症人としてあなたがおるっていう事実をまだ受け止められへんかった。
サラサラな髪を優しく撫でる。
あの日の病室で見た時よりも、はるかに多いあなたに繋がれたチューブやら機械やらを見て痛々しくなる。
ゆっくりと目を開けたあなた。
いや、正確にはゆっくりと半分だけ目を開けた。
そうよな、しんどくて喋られへんよな。
大丈夫、無理せんでもええんやで。
あなたには、俺らがついとるから。
そう言うと、ゆっくり頷いたあなた。
この状態を見たら嫌でもこの先のことを想像してしまう。
弱ったまま、俺らの前からいなくなってしまうんやろかって。
でも今は、あなたが起きてくれたことに喜ばな。
あなたが6人が映っとる画面に手を伸ばす。
それだけでも嬉しくて、
特に俺らは涙目やった。
弱々しく声を発したあなた。
あなたが発した予想外のそのことば。
ICUにおるかぎり、なんらかの治療はせなあかん。
危険な状態なんやから。
でも、家に帰りたいというあなたは
治療を諦めてもうてるんや。
目の前にある死を、受け止めたんや。
あなた、、、俺らは最後までお前の傍におる。
せやから、、、
その先の未来が残酷やとしても、
俺らはあなたのやりたいことを、やらしたる。
たとえそれが、
君の最期の願いでも。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。