血を流して倒れるあなたを目の前に、
パニックになって涙がとまらへん。
こんな状況で
あなたの返事が返ってこないことは分かってる。
でも、心のどこかで信じてる俺がおるんや。
現実を受けとめ、認めてしまったら
たぶん俺、ぶっ倒れてしまうと思うから。
はやく、はやく。
あなたを助けてあげたい。
なんでか分からへん。
でも、自分が頼るのはいつもこいつやった。
泣きじゃくってる俺。
そのせいで呼吸が上手くできひんようになってきた。
しげは今傍に居ないけど
充分すぎるぐらいの温もりを感じる。
そう言って切られた通話。
あなたに何かあったこと、しげは分かったはずやのに。
俺がまた取り乱さへんようにワザと黙ってくれとったんやろ?
小っちゃな体を持ち上げ、お姫様抱っこをする。
今だけは許してな?
あまり刺激しないよう、慎重に運ぶ。
遠くから走ってくるしげ。
あぁ、来てくれたんや。
あなた。もうちょっとの辛抱やで。
俺の意識はここで途絶えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。