第161話

約 束 交 わ し て お 別 れ を。
4,123
2021/07/27 07:39












ライブは、無事に幕を閉じた。











それからお世話になった関係者さんに挨拶し回ってたら、家に帰る頃にはもう23時過ぎ。










荷物を置いて手を洗ったあと、
押し入れの中からある物を探した。












重 岡
重 岡
.....みっけ。









それは、俺らとあなたの今までの思い出が詰まった一つのアルバム。








あなたがちっこい頃から今まで。


全部の記録がここには載ってる。












ほんまに8人一つ一つの思い出が嬉しくて


こうやって大切に保管してたんよな。









重 岡
重 岡
...出逢えて幸せやったな。






どんな辛いことがあっても、


仕事で疲れ切ってたときも、


いつも癒してくれたのがあなたやった。













また出会えるよな。




昔のあなたに。








神 山
神 山
しげ、もうちょっとやで。
重 岡
重 岡
、、、わかった。






0時まであと数分。







49日という今日が終われば、


あいつの魂はこの世界からいなくなってしまう。













正直、あいつは死んでへんし、この世に存在しとる上でこんなことするのは気が引けたけど





きちんと昔のあなたにありがとうを伝えたかった。


区切りをつけたかったんや。













目を閉じて

あいつの顔を浮かべてみた。









自分でもびっくりするくらい笑顔のあなたしか出てこーへんくて。











23時59分。









8人の大切な思い出が入ったアルバムを抱きしめた。














... さよならは言いたくない。








あいつに伝えたい言葉は一つだけ。











重 岡
重 岡
...俺、あなたに出会えて幸せやったよ。
小 瀧
小 瀧
...ここにいるあなたも、これからたくさん思い出つくろうな。







小瀧がソファで眠っているあなたの頭を撫でた時、














時計の針が、静かに音を鳴らしながら右に動いた。










重 岡
重 岡
...ありがとう。

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