小瀧から電話がかかってきた時、
いつもと違う様子が声だけでも分かった。
あなたになんかあったんかな、とかマイナスな事しか考えられへんくて。
でも、年上の俺がしっかりせな。
そう思った。
倒れる寸前の小瀧を抱きとめる。
ごめんな、1人で不安やったよな。
そして小瀧の腕の中で眠っとるあなた。
あなたの後頭部は直視出来ひんほど痛々しくて。
あなたがとった行動を理解することに、そんなに時間はかからなかった。
なんとか2人を優しく運び、
病院へと車で向かう。
「 どうされましたか?」
言葉を少し詰まらせながらも、
あなたを差しだす。
「 分かりました!!」
あなたは治療室へと運ばれ、
小瀧は違う看護師さんに連れて行かれた。
治療室前の倚子に腰掛け、他メンに連絡する。
電話中に治療室から出てきた2人のお医者さん。
その会話を聞いて、俺はスマホを床に落とした。
薄々気付いとった。
あなたのあの姿、医者の顔色。
アホな俺でも
危険な状態だってことくらい分かった。
「 あの子助かるのかしらね 」
「 いやあの状態だし難しいんじゃない?」
「 可哀想よね、まだ若いのに 」
「 ね、」
でも、でもな?
こんなハッキリ言われてしまったら、俺...
どうすればええん?
なぁ、誰か。
お願いやから教えてや。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。