キスブサの収録前ソファーで寝ていた藤ヶ谷が突然大声を出し目を覚まし。
(どうしたんだろ)
そう言って目を逸らす…
チラッと、あいつの方を見れば俯いたまま。
(デビューしてから9年…早いものだ、フッ)
俺をからかい楽しんでいるニカ「ふっ、明るくなって良かった」今更ながらに思う、あの日Jr.時代ニカは親友だと思っていた奴に裏切られ。
(暗かったよなぁ当時は今みたいに笑わなかったもん俺も横尾さん藤ヶ谷も心配で堪らず、壊れちゃうんじゃないかって、でもよく乗り切った、うん)
(俺は、そっちの方が心配)
「ガハハハッ」宮田の可笑しな仕切りで始まった
飲み会…
「あらタマちゃん超ご機嫌ななめ」でも、何よりも驚いたのは。
(藤ヶ谷が乱れているマジで!?)
「えぇーっ!?」横尾さんがほっぺにチューすると。
(おっ、おい、大丈夫かぁ…)
(いやいや、そうじゃなく)
「なんでそうなる?」しばし流れる沈黙…
(んっ?何か聞こえるぞ)
(へっ?)
「ちょっちょ、えぇーっ!?」ボコンボコンボコン、ニカに蹴りを入れ大騒ぎする藤ヶ谷。
それを見て、クールに言うタマ。
(んっ?)
全員が固まる中、藤ヶ谷はズリズリズリと俺の傍へ寄って来て。
ゴロン…
膝の上へ頭を乗せ数分後に、聞こえてきた静かな
寝息。
(タマ?)
(…あの‥みんな‥)
そして二人、取り残されてしまい。
膝の上には眠っている藤ヶ谷「どうしろって言うんだよ?この状況」
俺の名を呼び、ニヤっと笑い。
(ふっ、可愛い…こうやって見ると弟だった頃とちーっとも変わってない、なぁ藤ヶ谷、そろそろ肩の力を抜けよカッコつけたって本質的なお前はなんにも変わってないんだから)
俺は知っている藤ヶ谷の本当の姿を俺は、こいつのシンメトリーだから。
・藤ヶ谷side
目の前で、ニカとイチャついている北山。
温かい眼差しで見つめ…
(いいな、いいなニカは俺もしたい…つうかやりたい。うわっ、やりたいだって)
そんな二人を横目で見ながら口へ運ぶグラスのスピードが上がり気がつけば…
トローンとした瞳で見たら、ワタが素敵な王子さまに見えた。
「そうだ、そうなんだよ」そして俺は気づく、あの夢と反対になればいいんだと。
(んっ?あれあれ誰かが俺を引っ張っているな)
(北山?)
(あははっ)
(悪い悪い、んふふっ)
(こんな些細なことも幸せに感じる、かなりの重症かも俺) ブロロロ―
(これって所謂お持ち帰りってやつ?)
「やったぁ~藤ヶ谷太輔、本日お泊まりしちゃいまーす」そこからの記憶がない。
(なんか北山が叫んでいたよう…な)
朝、目を覚ますと何故だか俺はスッポンポンで寝ていて、それも北山と。ベットの中で、同じくスッポンポンで眠っている北山「ん~思い出せない、ここってこいつんち…だよな」
周りを見渡せばデスクの上にちょこんと座っているブタうさぎ?「懐かしい~お前、なんでこんなもん飾ってあるんだよ?クスッ」
「あはっ、さてと御飯でも作っておいてやるか」
起き上がり立とうとした次の瞬間!
身体がグラッとし北山の上へダイビング「むぎゅ」
慌てて起き上がったら、ブスッとした表情で。
(いや、今のは不可抗力)
(えっ?俺、昨日なんかした)
「嬉し…かっ‥た?」カァーッと、頬を赤らめている北山「えっえっ?えぇーっ、なんでだ」
(そう言えば…ズキッ、ズキズキ、いっ、痛い!けど俺キングだから我慢する)
そう思い、黙っていると。
北山さんベットから出て何処かへ行きました、で…帰って来た手には。
「酔いざましの薬?」しかし俺の目線は…
またまた顔を真っ赤にし、股間を両手で隠す北山。
(かーわいい、クスッ…だって息子ちゃんがチョコンと俺に挨拶していたから、つい)
「していません、していません」耳元でワタの声が聞こえた気がする、それから…
超不機嫌な北山と一緒に朝食を摂り…
(なんかいつもとは逆だ、まぁ~昔は俺じゃなくこいつがツンデレだったから、おかしくはないんだけど)
(えっ、それだけ言うと再びもくもくと食べ続ける、これはチャンスかもしれない)
言い掛けた、次の瞬間。
クリクリッとした瞳を見開き、ガン見して。
「だから俺、昨日お前に何をやったんだよ」聞きたいけど聞けない自分。
キラキラと瞳を輝かせ、食らいついて来る北山。
(ヤバい、やばいヤバいヤバい可愛いすぎて抱きしめたくなる)
ドタドタドタっと足音も高らかに「…っておい片付け」
「デートか、んふふふっ」嬉しくて自然と顔に笑みが溢れた「何年ぶりだろ?北山と二人きりで出掛けるの」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。