テーブルの上に乗せられた大きなケース、中には
淳平の債権と3億5000万円が入ってる。
その瞬間、場には緊張感が漂い始め。
が、隣にいた淳平が…
(じゃ、それじゃあ…よ)
けど彼奴は躊躇せず自分のこめかみに拳銃を当てがい…「カチッ!」俺は外れだったことにホッと胸を撫で下ろす、でもまだ勝負は始まったばかり。
(えっ)
その瞳がジッと俺を見つめ、何故だか心臓がドキッと高鳴った。
(それって、どういう意味だよ?)
カチッ!
(違う…)
(ダメだ、んなの)
ダッと、俺は走り出す。
迷うことなく、その身体へギュッと抱きつき腕の中へと飛び込み。
が、とたんにグイッと身体を引き寄せられたかと
思ったら顔が近づいて。
チュッと重なった唇「んんっ」突然のことに、俺は頭の中がパニックに陥ってしまい。
慌てて突き放したら、再び引き寄せられ。
(やめろって、みんなが見ている、なっ、なぁーっ)
けど何故だか抵抗できず、舌が咥内に侵入するのを許してしまい。
「…もっ‥ダメっ…だ‥力が…抜け‥ガクン」思った瞬間、ギュッと力強く抱きとめられ。
それから俺の身体を離し、こめかみに銃を当てて「だっ、ダメだ」引き金を引こうとする姿に心が
叫ぶ「藤ヶ谷あぁーっ」
カチッ!
「ばっ、バカ…くっ」その笑顔を見て思わずヘタり込み。
しかし、次の瞬間まるで形勢が逆転したかのごとく狼狽する林田がいたんだ、人が変わったように落ち着きをなくし悔しそうにワナワナと身体を震わしている。
と、そのとき。
ドサクサに紛れ抜け出そうとした淳平が、この3人に捕まってしまい。
強がって暴言を吐いた林田に、藤ヶ谷が銃を向け「ちょ、それはマズいんじゃ」
手に持っている弾を見せ…
(こいつ…って)
(凄いっていうか恐いもの知らずっつうか…)
(あまり怒らせない方がいいのかもしれない)
(なっ、なんなんだ?この2人)
(よく分からないがけど…)
(羨ましい気がする)
(俺には、こんな友達はいなかったから)
ブロロロ~
(それを言うなら東京湾に沈めちゃうじゃないの?)
クラっと、そのとき目眩がして。
それからの記憶がない…気がつけば、また俺はあの部屋のベットに寝かされていたんだ既に日付が変わって。
(そっ…か、それで)
(そうだよな、さすがに俺も庇えないや)
(本当か!?)
藤ヶ谷は、こうも言ったんだ「これで借金をチャラになんかしてやったら、淳平は反省などしないだろう」って。
「あんがと更生するチャンスを与えてくれて」俺は嬉しくなって、思わず。
が、そしたら「ちっ、やっぱムカつく」そう言って突然ギュッと抱きついて来てよ。
その拍子に、ベットの上で抑えつけられてしまい「待って、まっ…」1度は近づいたかに思えた俺と藤ヶ谷の心、だけど…くっついたり離れたり何回もそれを繰り返すうちに俺は、だんだん分からなくなってしまい。
そして、その関係について悩み足掻き苦しむ事となる先の見えない行方に対し。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。