第6話

天使の微笑み⑥北山side
530
2020/02/15 08:49
テーブルの上に乗せられた大きなケース、中には
淳平の債権と3億5000万円が入ってる。

林田
1発だけ装填し交互に撃つ運のない方が負け、さぁ~藤ヶ谷くん弾を込めたまえ


その瞬間、場には緊張感が漂い始め。

林田
宜しいかな?


が、隣にいた淳平が…

淳平
バカじゃねイカサマをしないわけないじゃん
北山
なっ!?
淳平
奴ら、その道のプロだ何か仕掛けが
してあるに決まってる


(じゃ、それじゃあ…よ)

林田
どちらから?
藤ヶ谷
俺から行こう


けど彼奴は躊躇せず自分のこめかみに拳銃を当てがい…「カチッ!」俺は外れだったことにホッと胸を撫で下ろす、でもまだ勝負は始まったばかり。

林田
では次に私が、カチッ、1つ聞いてもいいかな?
藤ヶ谷
なんだよ?
林田
どうしてそこまで、この青年に拘る?
北山
‥‥っ
林田
身の安全を考えたら危ない橋を渡る
より、素直に返金を受け取り返せば
いいだけのこと
藤ヶ谷
お前には分からないだろうな
林田
えぇ、私には理解できませんねリスクを背負う理由が一体どこにあるのか
藤ヶ谷
カチッ、理由ならある彼奴は覚えて
ないんだろうけどさ


(えっ)

その瞳がジッと俺を見つめ、何故だか心臓がドキッと高鳴った。

藤ヶ谷
今度は俺が絶対に助けてやるから


(それって、どういう意味だよ?)

淳平
あいつ、何を言っているんだ
北山
分からない
淳平
お前、知り合いだったの?
北山
‥‥
淳平
緊張で頭がイカレちまったんじゃね


カチッ!

藤ヶ谷
残る弾丸は、あと1発ずつ
林田
次で片がつくってわけですね


(違う…)

淳平
どっちにしろ、これで彼奴の人生も
終わりってわけだ


(ダメだ、んなの)

北山
止めなきゃ
淳平
なっ、本気!?お前だって酷い目に
遭わされたんじゃないのか
北山
それ…は
淳平
放っとけばいいじゃん下手すりゃ
このままズドーンとあの世行き、
いいきみだ
北山
んでも、優しくしてくれた


ダッと、俺は走り出す。

淳平
おい!
北山
優しくしてくれたんだ


迷うことなく、その身体へギュッと抱きつき腕の中へと飛び込み。

北山
撃っちゃダメだ藤ヶ谷、この銃を
撃つんじゃねぇ
藤ヶ谷
今…お前、なんて?
北山
えっ
藤ヶ谷
…初めて‥俺の名を…呼んだ


が、とたんにグイッと身体を引き寄せられたかと
思ったら顔が近づいて。

北山
なっ、なに!?
藤ヶ谷
もう1度、なぁ~もう1回言ってみ?
北山
はっ?お前、なにを言って、あっ


チュッと重なった唇「んんっ」突然のことに、俺は頭の中がパニックに陥ってしまい。

千賀
うえぇ~熱烈うぅ
淳平
げっ、マジでか!
林田
‥‥っ
二階堂
ヒューヒュー、やるぅ~ガヤ


慌てて突き放したら、再び引き寄せられ。

北山
やっ…め‥
藤ヶ谷
もう1度
北山
…ふっ‥藤…ヶ‥谷…あふっ
藤ヶ谷
もう1回
北山
…んんっ‥ぁ…


(やめろって、みんなが見ている、なっ、なぁーっ)

横尾
ったく…しょうがないな~もう、クスッ


けど何故だか抵抗できず、舌が咥内に侵入するのを許してしまい。

北山
…んんっ‥んふっ…


「…もっ‥ダメっ…だ‥力が…抜け‥ガクン」思った瞬間、ギュッと力強く抱きとめられ。

藤ヶ谷
これで俺は凄い強運の持ち主に
なった、ふっ
北山
えっ
藤ヶ谷
まぁ~見てろって今日は特に
負ける気がしない
北山
でっ、でも
藤ヶ谷
絶対に護ってやるから 、ニコッ
北山
‥‥っ


それから俺の身体を離し、こめかみに銃を当てて「だっ、ダメだ」引き金を引こうとする姿に心が
叫ぶ「藤ヶ谷あぁーっ」

カチッ!

北山
ぁ…あぁ‥ぁ…
藤ヶ谷
なっ?強運だろ、ニコッ


「ばっ、バカ…くっ」その笑顔を見て思わずヘタり込み。

林田
そんなバカな、こんな筈はない
貴様どうやって
藤ヶ谷
こんな筈はない?まるで俺の負けが
決まっていたような言い方だな


しかし、次の瞬間まるで形勢が逆転したかのごとく狼狽する林田がいたんだ、人が変わったように落ち着きをなくし悔しそうにワナワナと身体を震わしている。

藤ヶ谷
予定通りに行かなくて残念だったな
林田
くっ
藤ヶ谷
金は遠慮なくもらって行くよ


と、そのとき。

横尾
おーっと逃げようたってそうは
いかない
淳平
 ひっ
二階堂
渉を怒らせると後が恐いんだぞ
千賀
そうだ、そうだ


ドサクサに紛れ抜け出そうとした淳平が、この3人に捕まってしまい。

林田
そうか分かった弾を装填する振りをし貴様なにも入れなかったな、つまらん小細工をしよってここから無事に出られると思うなよ!


強がって暴言を吐いた林田に、藤ヶ谷が銃を向け「ちょ、それはマズいんじゃ」

林田
なっ、なんのマネだ
藤ヶ谷
本当にそう思う?


手に持っている弾を見せ…

林田
ふっ、やっぱり銃の中は空だ
藤ヶ谷
いや俺はペイントを込めていない弾を代わりに装填したんだ、ふっ
林田
なっ、まさか実弾
藤ヶ谷
ご名答、正解した褒美にお前を
ドライブに連れて行ってやるよ
林田
‥‥っ
藤ヶ谷
ほら邪魔だ道を開けろ、お前らのボスがどうなってもいいのか


(こいつ…って)

林田
おっ、覚えてろ!こんな事をしてただで済むとは
藤ヶ谷
悪いなぁ~俺、記憶力が悪くてよ


(凄いっていうか恐いもの知らずっつうか…)

藤ヶ谷
が、そんなに喜んでもらえるなんて
俺も嬉しいってもんだ、ハハハッ


(あまり怒らせない方がいいのかもしれない)

千賀
ガヤちゃんカッコいい
藤ヶ谷
Thank you、千ちゃん
二階堂
あれ渉、どうしたんだよ?なんだか
機嫌が悪そ
横尾
当たり前だ
藤ヶ谷
何を怒っているんだ?ワタ
横尾
俺が来た意味ある?
藤ヶ谷
ん~千ちゃんが来た意味なら
あったかもしれない
横尾
はあっ?
藤ヶ谷
警視総監の息子のダチとも知れば彼奴らこれからは下手に手出しは出来ないだろうしさ
横尾
チャッカリしている
藤ヶ谷
今に始まったことじゃないだろ、クスッ


(なっ、なんなんだ?この2人)

横尾
お前が呼び出したお陰で俺とニカはな
藤ヶ谷
続きは帰ってからやればいいだけ
の事じゃん
横尾
そういう問題じゃ利用するなら見せ場を作れ見せ場を
藤ヶ谷
あっただろ、ちゃーんと
横尾
あれは
藤ヶ谷
ありがとマジで助かった
横尾
当然、ふっ


(よく分からないがけど…)

千賀
仲いいだろ?ニコッ
北山
うん、まぁーな


(羨ましい気がする)

横尾
よし帰るよニカ、健永
二階堂
俺の名前は二階堂高嗣、そっちは?
北山
北山…宏光
千賀
じゃミツだね
北山
はっ?


(俺には、こんな友達はいなかったから)

二階堂
宏光だからミツ
千賀
宜しくミツ
二階堂
宜しくな
北山
ぁ…‥
藤ヶ谷
ふっ


ブロロロ~

横尾
やれやれ着いたよ、ほら
二階堂
こいつはどうするんだ?ガヤ
藤ヶ谷
好きに遊んでから帰してやれば
二階堂
やったぁ~
林田
くっ、放せ
千賀
とっとと歩かないと流しの下に
埋めちまうぞ


(それを言うなら東京湾に沈めちゃうじゃないの?)

北山
あ、淳平は?
藤ヶ谷
取り合えず五関に頼んでおいた今日は疲れただろうし部屋へ戻って休っ…


クラっと、そのとき目眩がして。

藤ヶ谷
北山、ギュッ!


それからの記憶がない…気がつけば、また俺はあの部屋のベットに寝かされていたんだ既に日付が変わって。

藤ヶ谷
目が覚めた?ったく心臓に悪いよ戻って来たら倒れてしまうんだからさ
北山
おっ、俺
藤ヶ谷
今度こそ熱は下がったみたい、ふっ
北山
悪い…
藤ヶ谷
謝らなくていい


(そっ…か、それで)

藤ヶ谷
北山
北山
なんだよ?
藤ヶ谷
淳平のことなんだが
北山
‥‥っ
藤ヶ谷
やつのした事を考えると腸が煮えくり返るくらい頭にくるけど


(そうだよな、さすがに俺も庇えないや)

藤ヶ谷
今回だけは、お前に免じ許して
やる事にしたよ


(本当か!?)

藤ヶ谷
だけど返済はきっちりしてもらう
北山
あ、でも…それって
藤ヶ谷
債権を譲り受けたってことは彼奴は
俺に返さなければならない
北山
ん…まぁ
藤ヶ谷
それに、ふっ


藤ヶ谷は、こうも言ったんだ「これで借金をチャラになんかしてやったら、淳平は反省などしないだろう」って。

藤ヶ谷
ちゃーんと働いて返してもらわないと健全な肉体労働ってやつでね


「あんがと更生するチャンスを与えてくれて」俺は嬉しくなって、思わず。

北山
良かった、これで淳平もまともな道へ行くことが出来る


が、そしたら「ちっ、やっぱムカつく」そう言って突然ギュッと抱きついて来てよ。

北山
ちょ…あっ‥


その拍子に、ベットの上で抑えつけられてしまい「待って、まっ…」1度は近づいたかに思えた俺と藤ヶ谷の心、だけど…くっついたり離れたり何回もそれを繰り返すうちに俺は、だんだん分からなくなってしまい。

そして、その関係について悩み足掻き苦しむ事となる先の見えない行方に対し。




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