(これから、自分はどうなるのか?)
一抹の不安を感じながら「はぁ、毎日なんてことはないよな」俺は昨日のことを思い出していた。お金のために抱かれる自分、考えただけで先の見えない迷路へと入り込んだみたいで気が重くなる。
と、その時ドアをノックする音が聞こえ入って来た藤ヶ谷が。
あまり気乗りはしなかったが既に顔見知りのやつもいるからと、そう言われて仕方なく部屋へと向かい
ガチャ!
すると、いきなりダダダッと。
(なっ?ちょ、よせ)
目の前へ走り込んで来たやつが、ギューッと人の頬を引っ張りやがって。
(なんだ?こいつ)
と、今度は後から来たやつがハッシーとかいうやつの腕を引っ張り。
「マジで勘弁してくれ」思わず俺は…
で、なんとか離れてくれたんだけど。
思わぬ歓迎の仕方に、目が点になってしまう。
(本当だ、とんだ災難だ)
(それ…じゃあ)
(えぇーっ!?)
(そうなのか?)
(でも、いるだけまだマシだ俺なんか)
(それも、こんな可愛いのが)
(って事は、つまり俺も藤ヶ谷に)
(玉森?玉森って誰)
(説明になってない、アハッ)
(言葉が…出ない)
(なるほど、これじゃあ藤ヶ谷が俺にあんな事をする理由がなんとなく分かった気がする、こいつらの中では同性同士で抱き合うのは普通なんだ)
男と女が、そうであるように。
(けど俺は違う馴染むなんてことなんて出来やしない、その…自分が女みたいに男に抱かれるだなんてやっぱ変だし)
(そんなんじゃ…ない)
(そう違うんだ俺は借金返済の為に藤ヶ谷に抱かれているだけでトッツーや二階堂ハッシーみたいに愛されているわけじゃない)
ふと寂しい想いが押し寄せ俯いてしまう「これが
俺と、あいつとの関係なんだ」そう思ったら胸が
締めつけられ。
(なおさらハズいじゃん)
それから、こいつの今までの性体験を何故だかそこにいる全員から聞かされる事となり。
が、益々それで俺は分からなくなってしまったんだ。
「その理由が知りたい」心底そう思う、女を抱いて来た藤ヶ谷がどうして俺に対してだけはそうする事を強要するのか不思議でならなく。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。