第9話

天使の微笑み⑨北山side
490
2020/03/09 02:32
(これから、自分はどうなるのか?)

一抹の不安を感じながら「はぁ、毎日なんてことはないよな」俺は昨日のことを思い出していた。お金のために抱かれる自分、考えただけで先の見えない迷路へと入り込んだみたいで気が重くなる。

と、その時ドアをノックする音が聞こえ入って来た藤ヶ谷が。

北山
友達?
藤ヶ谷
あぁ、お前に会いたいって言ってさ
北山
なんで?
藤ヶ谷
とにかく一緒に来てもらえる


あまり気乗りはしなかったが既に顔見知りのやつもいるからと、そう言われて仕方なく部屋へと向かい

ガチャ!

藤ヶ谷
連れて来たぜ


すると、いきなりダダダッと。

橋本
うわぁーっ、ほっぺがプクプクうぅ~


(なっ?ちょ、よせ)

目の前へ走り込んで来たやつが、ギューッと人の頬を引っ張りやがって。

北山
いってぇ~よバカ何をするんだ
河合
キャハハハ

(なんだ?こいつ)


橋本
俺、ハッシー宜しく~うふっ
柔らかいねぇ
戸塚
ほら手を離してやりな
痛がっているだろ


と、今度は後から来たやつがハッシーとかいうやつの腕を引っ張り。

橋本
やだっ、ムギュッ
藤ヶ谷
抱きつくんじゃね、こら離れろ
橋本
やあぁーっ


「マジで勘弁してくれ」思わず俺は…

北山
ふっ、藤ヶ谷、助けて
藤ヶ谷
北山!
河合
キャハハハ


で、なんとか離れてくれたんだけど。

藤ヶ谷
ったくぅ~
五関
ごめんねぇ、あはっ


思わぬ歓迎の仕方に、目が点になってしまう。

河合
こりゃいいや、クククッ
藤ヶ谷
笑い事じゃねぇ郁人


(本当だ、とんだ災難だ)

河合
俺は河合郁人、改めて宜しく
北山
あ、あぁ
河合
職業は、なんでも屋
北山
なん…でも?
藤ヶ谷
言葉の通り、おもに情報や裏家業に
関わる事をやっている
北山
そうなんだ
藤ヶ谷
お前がカジノに売られてしまった事や淳平のことなんかを教えてくれたのも、こいつ


(それ…じゃあ)

河合
しかし無事で良かった何事もなく
北山
ありがと、ふっ
横尾
俺のことは、もう知っているでしょ?
北山
藤ヶ谷の…
横尾
太輔とは、まぁ腐れ縁ってやつかな
金融業を手伝っている、そしてそこ
にいるのが
二階堂
昨日、会ったよね二階堂高嗣、学生さ
横尾
俺の恋人
北山
へっ?


(えぇーっ!?)

横尾
そんなに驚かなくてもいいじゃん俺達の中では珍しいことじゃないんだし


(そうなのか?)

千賀
俺は…
北山
藤ヶ谷の弟分
千賀
千賀健永
北山
確か父親が…
千賀
その先は言わなくていい、あんな奴が親父だなんて胸くそ悪くて反吐が出る
北山
嫌いなの?親父さんのこと
千賀
大っ嫌いだ自分の立場を利用し
悪い奴らを上手く手懐け
二階堂
千賀


(でも、いるだけまだマシだ俺なんか)

戸塚
戸塚祥太、ハッシーや五関とは
親戚筋にあたる
河合
俺のコレ、にやっ
北山
はっ?お前にもいるの


(それも、こんな可愛いのが)

河合
毎晩、愛し合っちゃっているんだよ
なぁ~これが
戸塚
河合、んもぉーっ
河合
えへへっ


(って事は、つまり俺も藤ヶ谷に)

塚田
塚田僚一、職業は忍者
北山
はっ?
藤ヶ谷
話したろ昨日、ネコがやっつけて
くれたって
塚田
別名SP、ボディーガードとは言っても警察の犬になんかなってないけど
北山
どういう意味?
藤ヶ谷
自営でやっているんだ
塚田
今は、もっぱら玉森のガード専門みたいなもんさ今日一緒じゃないのは
五関
もう、その辺でいいんじゃない説明
しても分からないだろうし


(玉森?玉森って誰)

五関
俺は五関晃一、バーを経営している
藤ヶ谷
いわゆるオカマバーってやつ
五関
ゲイバーだ、ゲイ!
藤ヶ谷
どっちも似たようなもんじゃん
五関
違うゲイはゲイ、オカマはオカマ


(説明になってない、アハッ)

河合
で、今さっきハッシーと五関の
兄弟愛が発覚した
北山
んっ?
五関
郁人その件はもう
二階堂
この2人兄弟でしちゃっているんだよ
北山
何を?
二階堂
もーう分からないのか?あれだよあれ
エッチ
北山
なっ!?ええっ


(言葉が…出ない)

北山
聞いてもいい?
二階堂
なに
北山
ハッシーって歳いくつ?
橋本
13さぁ~い、ニコッ


(なるほど、これじゃあ藤ヶ谷が俺にあんな事をする理由がなんとなく分かった気がする、こいつらの中では同性同士で抱き合うのは普通なんだ)

男と女が、そうであるように。

(けど俺は違う馴染むなんてことなんて出来やしない、その…自分が女みたいに男に抱かれるだなんてやっぱ変だし)

藤ヶ谷
あと2人いるけどまだ来ていないから
横尾
何か他に聞きたい事とかある?
五関
遠慮しなくてもいい言ってみな?
千賀
俺達は、もう仲間なんだから
北山
仲…間?
河合
太輔の愛人になったんだし俺らとも
当然これから付き合っていくことに
なる、だから
北山
あ…愛人‥って


(そんなんじゃ…ない)

藤ヶ谷
郁人、言い方には気をつけろ怒るぞ
河合
ひえぇ~怖ばら怖ばら
藤ヶ谷
こいつはそんなんじゃないから
河合
へいへい


(そう違うんだ俺は借金返済の為に藤ヶ谷に抱かれているだけでトッツーや二階堂ハッシーみたいに愛されているわけじゃない)

ふと寂しい想いが押し寄せ俯いてしまう「これが
俺と、あいつとの関係なんだ」そう思ったら胸が
締めつけられ。

北山
…聞いても‥いい
横尾
なに?
北山
やっぱり藤ヶ谷も
横尾
んっ?
北山
ホッ…ほ‥
千賀
違うよガヤさんは
北山
えっ
横尾
れっきとしたノンケ、それも
バリバリの
北山
じゃなんで俺にあんなことを
ハッ…カァーッ
橋本
うわっ、顔が真っ赤っか
五関
良亮!
戸塚
みんな分かっているから、そんなに
恥ずかしがらなくてもいいよ
北山
‥‥っ


(なおさらハズいじゃん)

戸塚
藤ヶ谷はね


それから、こいつの今までの性体験を何故だかそこにいる全員から聞かされる事となり。

千賀
ってわけ分かった?


が、益々それで俺は分からなくなってしまったんだ。

北山
だったら、どうして?


「その理由が知りたい」心底そう思う、女を抱いて来た藤ヶ谷がどうして俺に対してだけはそうする事を強要するのか不思議でならなく。




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