第16話

天使の微笑み⑯北→藤→北山side
342
2020/06/06 13:40
塚田
じゃ北山は、もう悩みごとはないの?
北山
うーん
戸塚
まだあるみたいだね


藤ヶ谷が仕事へ出かけ暫くするとトッツーと塚ちゃんがやって来て。

戸塚
遡って順序隔て気持ちを整理した方がいいんじゃない?
塚田
さっすがトッツー
戸塚
でも、その前に確認してもいい
北山
んなに?
戸塚
藤ヶ谷に抱かれること今は
嫌じゃないんだよね
北山
えっ、あ、まぁ
戸塚
それを聞いて安心した
塚田
やった、ならなんの問題もないじゃん


(けど…)

戸塚
そんな簡単なことじゃないと思う
心ってものは
塚田
何がダメなわけ?
戸塚
ダメとか、そういう事じゃなく
根本的に
塚田
分からないよ俺には
戸塚
だからぁ


(おい、俺のことがきっかけで2人して言い合いに
ならないでくれ)

北山
あのさ…
戸塚
ごめん別に喧嘩しているわけ
じゃないから
北山
そうなの?
塚田
そっ、いつもこうなんだ
北山
はあっ?
戸塚
塚ちゃんって、どこか噛み合わない
ところがあるでしょ
塚田
失礼だなぁ俺は至って普通さ
戸塚
ほらね、クスッ


(アハッ、本当だ)

戸塚
だけどイザという時は頼りになる
塚田
わぁ~お、トッツーにいい子いい子
された気分
北山
えっ


(ガハハハッ、こりゃいいや)

戸塚
ふっ、ちょっと脱線しちゃったけど
始めてみようか
北山
あっ、それって
戸塚
うん、まずは出会った頃から


こうして俺は記憶を遡り、そのときその頃の自分の気持ちを思い出し整理してみる事にしたんだ、それにより今の自分の心が分かる気がして。

戸塚
藤ヶ谷と初めて会った日のこと
覚えている?
塚田
競売に賭けられ買われたその日のうちに、やられちゃったんだよね
北山
くっ
戸塚
塚ちゃん言葉には気をつけな
塚田
あっ、ごめん
戸塚
ったくぅ


(あれは本当に辛かった自分に何が起きたのか分からないまま)

北山
やめろ、やめてくれ、何をするんだ


(男が男にあんな事をするだなんて理解できなくて、凄く藤ヶ谷のことが恐く)

北山
でも、その後で熱を出し


(あいつは打って変わって…)

藤ヶ谷
バカ、凄い熱じゃん!そんな身体で
ウロウロしているんじゃないよ


(慌てたように薬を探しまくって、雑炊までも作ってくれ)

塚田
優しかっただろ
北山
あぁ
戸塚
不器用なだけで本当は、そう
思ったんじゃない?
北山
悪い人じゃないって


(それに、なんだかんだ言って淳平のことも助けて
くれたし)

塚田
っていうより、あれは北山のために
北山
分かっている、それでも嬉しかった


(特に、あの言葉が…)

藤ヶ谷
絶対に護ってやるから


(けど反面どうしてそこまでって思ったけどなロシアンルーレットなんて危険な事をしてまで)

北山
ハッ、そうだ
戸塚
どうかした?
北山
スッキリしない1つの原因は
あの事があったからだ
塚田
なに?
北山
藤ヶ谷が…


そのとき、こう言ったんだ。

藤ヶ谷
あいつは覚えてないんだろうけどさ


(競売に賭けられる前、どこかで会っているらしいが覚えてなくて)

塚田
それ本当に?
戸塚
初耳だね


(だから…)

藤ヶ谷
今度は俺が絶対に助けてやるから


(あの言葉の意味が今でもずっと心の奥に引っかかっていて)

藤ヶ谷
前にも言ったはず1回50万で
買ってやるって
北山
ちょ、よせ


俺は、また彼奴に無理矢理に抱かれてしまい。

戸塚
藤ヶ谷はどうしてそんな行動に
出たんだろ?
北山
分からない
塚田
‥‥‥


(そのほんの少し前には家族になってくれるって言ってくれたのに突然)

戸塚
話した中で他に気になっている言葉は
北山
‥‥っ
塚田
北山?


トッツーにそう言われ俺は、まだ何かを忘れている気がした。

藤ヶ谷
ちっ、やっぱムカつく


(いや、聞き流してしまった言葉があるような)

藤ヶ谷
…‥な奴が他の男のことで、そんな嬉しそうな顔をしているのを見ると


(あれは、なんて言ってたんだろ?あのとき俺、立て続けにいろんなことが起きかなり気が動転してたから)

塚田
しかしモモンガの話を聞いた
ときには笑えたな


(よく聞いていなかったんだ)

戸塚
藤ヶ谷の姿を想像しただけで、ププフッ


(そのあと結局…)

塚田
そう言えば借金ってどうなったわけ?
北山
えっ
戸塚
あいつのことだから、そう簡単に
チャラにはしないと思う
北山
あ…うん‥そのことはまだ聞いてない
塚田
だけど、もういいんじゃない
戸塚
どうして?
塚田
1回するごとに50万でしょ
戸塚
だから?
塚田
北山はもう藤ヶ谷とするの嫌じゃないんだから気がつけば知らないうち完済されちゃっているって事じゃないかな
戸塚
やっぱ塚ちゃんは全然わかってないね
塚田
えっ、何が?ねぇどういうこと?キョトン
北山
ぁ…‥ハハッ


(借金か…)

戸塚
嫌じゃなくなったとは言え、
その現状は変わらないじゃん
塚田
あ、まぁ…ハハッ
戸塚
でも少なくとも2人の関係は金だけで繋がっているんじゃないって分かっただけでも、良かったんじゃないかって俺は思うよ


(うん、けど…)

戸塚
後は北山の気持ちがスッキリしない
原因になっている事さえ解決すれば


(その先が見えて来るはずだ)

塚田
藤ヶ谷と、いつ何処で会ったのか?
なんでそうまでして北山に拘るのか
戸塚
なぁーんだ分かっているじゃん
塚田
もちろん


その道の人間じゃない藤ヶ谷が俺を抱く理由が、
そこには隠されている気がした。そして、それが
分かれば自分の心も…

戸塚
藤ヶ谷が北山に言った聞き逃してしまった言葉の意味も分かって一件落着ってこと、ふっ


(だといいんだけどな…)

それから2人は宮田の病院へ行って来るとマンションを出て行き俺は、また1人で考え込んでいた彼奴への自分の想いも含め。







・藤ヶ谷side
宮田
心配お掛けし申し訳ありませんでした


(本当だよ)
二階堂
でも良かった
河合
2・3週間もすれば退院できるって
玉森
じゃなきゃ迷惑だったく
五関
心配してたくせに、クスッ
玉森
俺は別に…ただ、こいつがいないと
千賀
寂しいとか
玉森
違うよ、カァーッ
橋本
裕太、顔が真っ赤っ可愛いぃ
玉森
ハッシー
一同
あはははっ


(ふっ、やっぱりな)

横尾
で、お前らの方はどうなって
いるんだ?太輔
藤ヶ谷
えっ
河合
もちろん、あれから
藤ヶ谷

郁人!
二階堂
かなり激しく燃えちゃった
んだろうねぇ、ニヤッ
藤ヶ谷
ニカも、はぁ…
河合
そりゃあそうだろ、キャハハハ
藤ヶ谷
くっ


「お前ら、それ以上なんか言ったら叩きのめす」と、そのときドアが開き。

塚田
やっほ~みんな元気
戸塚
昨日も会ったでしょ塚ちゃん


(うわっ、賑やかな奴がやって来た)

横尾
ここ病院だよ
五関
元気ぃ~はないんじゃない?クスッ
塚田
あははっ、ごめんゴメンつい
二階堂
で、ミツの様子はどう?
戸塚
大丈夫、落ち着いていたし
心配はいらないよ
藤ヶ谷
そっ、ふっ
塚田
あっちの方もバリバリ遠慮せず
出来るって感じ
藤ヶ谷
はっ?
塚田
もう藤ヶ谷とするのは嫌じゃないって言ってたから
藤ヶ谷
わわっ


(こいつ何を言い出すんだ)

五関
へぇ~良かったじゃん
二階堂
俺達みたいに毎日、何回でも出来るんじゃね、なぁワッター
横尾
そうだな、これで太輔も
藤ヶ谷
俺はノーマル、お前らとは違う
戸塚
まだ言っている、アハッ


(だからぁ~前から言ってるじゃん)

横尾
太輔、いいことを教えてやるよ
藤ヶ谷
なに?


するとワタが…

横尾
お前みたいに女も抱けて男もOKってやつの事をこの世界では「バイ」って言うんだ
藤ヶ谷
ばっ、バイ?


(ってことは…)

橋本
じゃガヤは、やっぱり俺達と似たようなものってことになる?
横尾
そうかな、ふっ
二階堂
仲間だ仲間あぁーっ
藤ヶ谷
違う!
五関
いい加減、認めろって
千賀
そうだそうだ
横尾
往生際が悪いぞ太輔
戸塚
今さら否定しても
河合
ここまでドップリ浸かってりゃ~
玉森
無理ってもんさ
藤ヶ谷
くっ


(あぁそうかよ、なら勝手に言っててくれ)

宮田
ふふふっ


が、そんな俺達を見て、みやは嬉しそうに微笑んでいた争いごとが嫌いなこいつにとって、その光景は微笑ましかったんだろう。

(悪かったな、もう巻き込んだりしないよう注意するから)

戸塚
ところで藤ヶ谷
藤ヶ谷
んっ?
戸塚
北山と初めて会ったのって
本当はいつなわけ
藤ヶ谷
なんでそんな事を聞くんだよ
戸塚
実はさ


俺はトッツーから3人で話をしたときのことを聞く

藤ヶ谷
そっか、まだ思い出せてないんだ
千賀
ガヤちゃん?
藤ヶ谷
でもそれは教えてもらって知るんじゃなんの意味もない
横尾
自分で思い出してこそ、いやそう願っているってわけか?
藤ヶ谷
あぁ
五関
それが今のお前の原点だからな
藤ヶ谷
ふっ
玉森
もしかして2人、未だに恋人同士にはなれてないってこと?
戸塚
なるも何も
千賀
ミツはバリバリのノンケだし
河合
前とは違い太輔に好意を持っている事は確かだろうけど
五関
だからってそれが
横尾
すぐ恋愛感情に結びつくとは
限らないってわけ


(分かっているそれくらい、だからあんな事をしてしまったんだし)

玉森
難しいね
橋本
そうかな
玉森
えっ
橋本
好きじゃなきゃ抱かれたり
しないと思う
五関
良亮それは藤ヶ谷が無理矢理そう
仕向けたからであって
橋本
初めはね、だけど今は違うんでしょ?
戸塚
んまぁ…
橋本
本人は気づいてないだけかも
しれないし
二階堂
そっか
塚田
北山、言ってた
藤ヶ谷
なんて?
塚田
自分の藤ヶ谷への感情が、なんなのか分からないって
玉森
‥‥っ
横尾
元はノンケ、男に恋愛感情を持つなんて考えもしなかっただけに
河合
沸いてきた想いが、そうだとは自覚
することが出来ないでいるって事か
五関
だったら望みはある
二階堂
ミツが自分の気持ちを認めさえすれば2人はきっと


「あいつが俺のことを好き?」今まで散々酷いことをし傷つけて来た自分のことを…

(なわけないだろ、ただ嫌じゃなくなった…それだけのこと男とする良さを知って)

だが、このときタマが何かを思いついたような顔をしている事に俺は気づかなかった。そこにいる連中さえも彼奴がある行動を起こそうとしていた事を…




・北山side

夕方、メシは横尾さんたちと食って帰るから…そう藤ヶ谷から連絡があり。

(なーんだ結局は独りで夕飯か)

テーブルで簡単に済ませ、そのあと暇だったこともあってリビングでテレビをつけたそのとき。

.
では次のニュースです繁華街でクラブ経営をしている実業家の吉泉○○さんが…


(えっ)

.
行方不明になったのは今朝からで


(どうして、あいつが)

.
吉泉さんは裏組織とも関わりを持っていたとの噂もあり何らかの争いごとに巻き込まれたのではないかと考えられ


(だって昨日の今日だぜ)

.
警察は事件の可能性があると判断し、その行方を捜しています


(なのに…)

けど、まだこの時は自分たちに災難が待ち受けていようとは思いもせず。あぁいう人だからきっとまた何かしでかしてしまい大変な事にでもなっているのかもしれないと逆に、これ以上関わらないで済んで良かった。

そう俺はホッと胸を撫で下ろしていたんだ、そして夜遅くに。
北山
お帰り
藤ヶ谷
ただいま
河合
うぃーす、みっちゃん
河合ちゃんですよ~
北山
みっ、みっちゃん!?
河合
相変わらず可愛いねぇ~うひひっ
藤ヶ谷
郁人、いやらしい目で見るんじゃないトッツーに言いつけるぞ


(うっわ、かなり酔っぱらっている…ハハッ)

藤ヶ谷
悪いメシのあと飲みに行ってさ、アハッ


(ずっと俺は待っていたのに)

河合
宏光うぅ~みっちゃんめっちゃ好き
ニヒヒッ…ぎゅう
北山
んぎゃ…ちょっ‥
藤ヶ谷
なに抱きついているんだ勝手に
下の名前で呼ぶな
河合
うひひひっ、ヒクッ
北山
ぁ…‥


(ダメだ、こりゃ)

藤ヶ谷
離れろ郁人
河合
ん~柔らかい
藤ヶ谷
おい、グイッ
北山
うわわっ
河合
俺も…護ってやるからな‥ヒクッ
北山
えっ
河合
この…河合ちゃん‥宏光…の為なら‥
なん…でも‥スースーッ


(あちゃ~寝ちまった)

藤ヶ谷
ったくしょうがねぇなもう、ふっ


(でも、あんがと)

藤ヶ谷
ちと寝かせて来るから先に
風呂にでも入ってろ
北山
あ、うん


それから浴室で身体を洗い湯船に浸かっていると。
ガチャ!

北山
ふっ、藤ヶ谷
藤ヶ谷
一緒に入ってもいいか?
北山
ぅ…うん‥カァーッ
藤ヶ谷
ふっ


チャッポン、こいつを見ると胸がドキドキする。

北山
あっ、んっ、ああっ
藤ヶ谷
色っぽいな、その声
北山
ふああっ、はぁーっ


ヌプッ、ヌチャ!

藤ヶ谷
もう鏡を見ても目を逸らさない
んだな、ふっ
北山
うあっ、あっ、んっ


男の俺が…

北山
はっあっ、んんあっ
藤ヶ谷
イケよ、ほら
北山
あっ、あぁ、あぁ~


(この気持ちは一体なんなんで?)

北山
ふ…じ‥ヶ谷…ハァハァ
藤ヶ谷
んっ?チュッ
北山
んんっ


(やっぱ安心する、その腕の中に包まれてると凄く)

が、その翌日から俺達は肌を合わせる余裕すらなくなってしまう、ある事が起きてしまい。

藤ヶ谷
いいから俺の言うことを聞け、ひろ
北山
嫌だ藤ヶ谷の傍にいる
藤ヶ谷
危ない危険だ
北山
どうして?
藤ヶ谷
俺はもう二度とお前をあんな目に
遭わせたくないんだよ、クッ
北山
藤…ヶ谷
藤ヶ谷
頼む、なぁ困らせないでくれ


その瞳に映る俺を必死で護ろうとしてくれている姿
いつも、こいつはそうだった。あの時も、その次のときだって身体を張って護ってくれ。

(俺は何が出来る?そんなお前に対し、いったい何が教えてくれ藤ヶ谷ただこの身体を抱けていればそれでいいのか?他に欲しいものはないわけ)

初めて俺が自分から何かをしたいと思ったのもこの時だった、大切な仲間たちが巻き込まれ追い詰められているのを知り。




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