藤ヶ谷が仕事へ出かけ暫くするとトッツーと塚ちゃんがやって来て。
(けど…)
(おい、俺のことがきっかけで2人して言い合いに
ならないでくれ)
(アハッ、本当だ)
(ガハハハッ、こりゃいいや)
こうして俺は記憶を遡り、そのときその頃の自分の気持ちを思い出し整理してみる事にしたんだ、それにより今の自分の心が分かる気がして。
(あれは本当に辛かった自分に何が起きたのか分からないまま)
(男が男にあんな事をするだなんて理解できなくて、凄く藤ヶ谷のことが恐く)
(あいつは打って変わって…)
(慌てたように薬を探しまくって、雑炊までも作ってくれ)
(それに、なんだかんだ言って淳平のことも助けて
くれたし)
(特に、あの言葉が…)
(けど反面どうしてそこまでって思ったけどなロシアンルーレットなんて危険な事をしてまで)
そのとき、こう言ったんだ。
(競売に賭けられる前、どこかで会っているらしいが覚えてなくて)
(だから…)
(あの言葉の意味が今でもずっと心の奥に引っかかっていて)
俺は、また彼奴に無理矢理に抱かれてしまい。
(そのほんの少し前には家族になってくれるって言ってくれたのに突然)
トッツーにそう言われ俺は、まだ何かを忘れている気がした。
(いや、聞き流してしまった言葉があるような)
(あれは、なんて言ってたんだろ?あのとき俺、立て続けにいろんなことが起きかなり気が動転してたから)
(よく聞いていなかったんだ)
(そのあと結局…)
(借金か…)
(うん、けど…)
(その先が見えて来るはずだ)
その道の人間じゃない藤ヶ谷が俺を抱く理由が、
そこには隠されている気がした。そして、それが
分かれば自分の心も…
(だといいんだけどな…)
それから2人は宮田の病院へ行って来るとマンションを出て行き俺は、また1人で考え込んでいた彼奴への自分の想いも含め。
・藤ヶ谷side
(本当だよ)
(ふっ、やっぱりな)
「お前ら、それ以上なんか言ったら叩きのめす」と、そのときドアが開き。
(うわっ、賑やかな奴がやって来た)
(こいつ何を言い出すんだ)
(だからぁ~前から言ってるじゃん)
するとワタが…
(ってことは…)
(あぁそうかよ、なら勝手に言っててくれ)
が、そんな俺達を見て、みやは嬉しそうに微笑んでいた争いごとが嫌いなこいつにとって、その光景は微笑ましかったんだろう。
(悪かったな、もう巻き込んだりしないよう注意するから)
俺はトッツーから3人で話をしたときのことを聞く
(分かっているそれくらい、だからあんな事をしてしまったんだし)
「あいつが俺のことを好き?」今まで散々酷いことをし傷つけて来た自分のことを…
(なわけないだろ、ただ嫌じゃなくなった…それだけのこと男とする良さを知って)
だが、このときタマが何かを思いついたような顔をしている事に俺は気づかなかった。そこにいる連中さえも彼奴がある行動を起こそうとしていた事を…
・北山side
夕方、メシは横尾さんたちと食って帰るから…そう藤ヶ谷から連絡があり。
(なーんだ結局は独りで夕飯か)
テーブルで簡単に済ませ、そのあと暇だったこともあってリビングでテレビをつけたそのとき。
(えっ)
(どうして、あいつが)
(だって昨日の今日だぜ)
(なのに…)
けど、まだこの時は自分たちに災難が待ち受けていようとは思いもせず。あぁいう人だからきっとまた何かしでかしてしまい大変な事にでもなっているのかもしれないと逆に、これ以上関わらないで済んで良かった。
そう俺はホッと胸を撫で下ろしていたんだ、そして夜遅くに。
(うっわ、かなり酔っぱらっている…ハハッ)
(ずっと俺は待っていたのに)
(ダメだ、こりゃ)
(あちゃ~寝ちまった)
(でも、あんがと)
それから浴室で身体を洗い湯船に浸かっていると。
ガチャ!
チャッポン、こいつを見ると胸がドキドキする。
ヌプッ、ヌチャ!
男の俺が…
(この気持ちは一体なんなんで?)
(やっぱ安心する、その腕の中に包まれてると凄く)
が、その翌日から俺達は肌を合わせる余裕すらなくなってしまう、ある事が起きてしまい。
その瞳に映る俺を必死で護ろうとしてくれている姿
いつも、こいつはそうだった。あの時も、その次のときだって身体を張って護ってくれ。
(俺は何が出来る?そんなお前に対し、いったい何が教えてくれ藤ヶ谷ただこの身体を抱けていればそれでいいのか?他に欲しいものはないわけ)
初めて俺が自分から何かをしたいと思ったのもこの時だった、大切な仲間たちが巻き込まれ追い詰められているのを知り。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。