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第1話

天使の微笑み①
1,453
2020/02/12 09:00
不器用な男が雨の日に天使と出会い恋に堕ちた皮肉な運命の中で、果たしてその恋の行方は…

以前に掲載していたノンリアル小説のリメイク版です。


出演/エビキス
Main:藤北


ただし年齢設定は実際と違い北山さんが藤ヶ谷さんより年下になっていますので予め御了承ください。





・藤ヶ谷side

その出逢いは忘れもしない、1年前の雨の日。

サザァーザァーサザァ…

.
いたか?
.
いや
.
あっちへ行ってみよう


「タッタッタッタッタ」足音が、遠退いて行く。

藤ヶ谷
ちっ、しくじっちまった…ハァハァハァ


肩から滴り落ちる血、俺は暴力団同士の抗争に巻き込まれ怪我をし路地裏へと逃げ込んでいた。

藤ヶ谷
さてと、これからどうするか


が、そのとき薄暗い中、目の前に見えたボンヤリとした人影。

北山
大…丈夫‥か?


(えっ、誰?)

最初はよく顔が見えなかったが徐々に近づいて来るにつれ少しずつハッキリとしていき。

(なーんだ、まだガキじゃん)

北山
大変だ怪我をしている
藤ヶ谷
ふっ、平気だってこれくらい…掠りき
北山
ダメだって!
藤ヶ谷
へっ?


ところが、こいつ。

北山
手当てしないと
藤ヶ谷
‥‥っ


名前は、北山宏光

北山
って、こんなことしか出来ない
んだけどさ


自分のポケットから、ハンカチを取り出し。

藤ヶ谷
お前
北山
早く病院へ行ったほうがいい
藤ヶ谷
大袈裟だな大した事ないよ
北山
じゃ、せめて
藤ヶ谷
んっ?
北山
傘を持って行ってくれ、この雨じゃ
風邪をひいてしまう


差し出された手…

北山
気をつけて


ニコッと微笑んだ瞳・その唇…

荒んだ気持ちがどれだけ救われたかしれない俺には天使のように見えた、あれからずっと思い続けている。

そして今、ここは某繁華街にある「とあるカジノ」裏稼業では有名な場所だ。

.
では次の商品に参ります


その手の金持ち連中が目の色を変え通い詰めているという、お目当ては…

.
さぁさぁ皆さん御覧下さい、このきめ細やかな白い肌を年齢は少々高めですが可愛らしい顔立ち、もちろん後ろの穴は初物


競売に賭けられる美少年や青年たちってわけ、それも殆どがノンケとくれば好き者の親父たちにとってはたまったもんじゃなく。

.
まず5000万円から


また、そいつらの欲をそそるかのように。

.
5500


売られる者は素っ裸にされ首輪で繋ぎ、ステージ上で晒される。

.
6000
.
6500


酷い話しだ…

.
7000
.
7500


元々、俺はこういったのは趣味じゃないんだが。

.
8000


ある情報筋から、思いも掛けない話を聞き駆けつけて来た。

.
8500
.
9000


それは今、賭けられている彼奴。

.
9000万、他にはいませんか


あいつこそ雨の日に出逢った、だから絶対に誰にも渡すわけにはいかないと。

.
1億これでどうだ、もう誰も
つり上げられまい


(ふっ、そろそろかな)

.
では決めさせて頂きます皆さん宜しいですか?1億で


(今だ!)

藤ヶ谷
1億5000
一同
ざわざわっ
藤ヶ谷
それもキャッシュで
一同
うおぉーっ
.
1億5000万円で落札されました


持っていたアタッシュケースを開け札をバラまき。

北山
ぁ…ガクガクッ


小刻みに震えている身体へ上着を掛け抱き上げると

北山
ガクン
藤ヶ谷
おい、気を失っちまった


「仕方がない、ふっ」そのまま車で自宅へと向かい。

河合
まさか本当に連れて来るとはねぇ
藤ヶ谷
悪い
河合
いや、でもどうする気だ?


こいつは河合郁人、俺に情報をくれた男。

河合
まっ、買ったのは太輔だし好きに
すればいいさ


言っとくが俺にそういった趣味はない普通に女だって抱くし、だがこいつだけは特別な存在だった闇の中に生きる自分にとって唯一の光りの如く。

その笑顔さえあれば、どんな苦難な道のりさえ乗り越えて行けると思えるほどの。




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