(はっ?今…なんて)
夕方、いきなり千ちゃんが来てそう言った。
(そんなこと聞かれても…)
吉泉のバカのせいで危うく、ひろがあの変態政治家野郎にやられそうになったのはまだ記憶に新しい。翌日、事務所で。
が、その時にはもう。
(単独行動をしていやがったのか)
(それで警察は郁人を犯人と決め込んだってわけだ)
(だが、これは完ぺき誰かの罠だ)
(理由があるとしたら、それだな)
(俺らを足止めし、それから)
(ハッ、狙いはひろか?だとしたら目的は俺を陥れるため仕返し?そんな事をするのは)
と、そのとき。
渉がドアを開け、その後ろに。
(あいつ、なんの為に?)
(んっ?誰…)
塚ちゃんの友達らしい。
元々は意味不明な奴だから、深く突っ込まない方がいいのかもしれない。
「あぁ、それが一番なのかもしれない彼奴の家なら安全だし」が、予想以上にひろが…
反抗したのには参ったけど取り合えず、それぞれ
連携しながら敵の策を探りつつ俺達は守りの体勢
を固めたんだ。
(そんなのは承知の上、そこまで大切に想える存在がいないアンタの方を俺は哀れだと思うよ林田)
仲間とは愛する人とは自分が生きて来た人生の証しなんだと、今の俺なら堂々と胸張って言えるから。こんな汚れた街の中で生まれ育った自分でもそれだけで後悔はない、この命張ってでも護り抜くことに
・北山side
バタン!
(なんだか雰囲気が似ているタマの尻に敷かれているところなんか特に、クスッ)
昼間…
とつぜん来て、そう言われた。
(ビックリしたよ本当に)
(ズキン!)
(また忘れていたわ俺…)
(タマは藤ヶ谷のことが好きだったんだっけ)
それから、藤ヶ谷が帰って来て。
そう言われ…
(はぁ~俺、忘れてばっかだな彼奴に返事をしろって言われたこともタマに言われるまですっかり頭の中から消えていたし)
このまま何事もなかったかのように一緒に暮らせると思っていた自分の甘さが情けなくなってしまう。
(うわっ、なに!?こいつ随分と唐突に質問するな)
(なんだろ)
(あんなに怒っていたのに、今は優しいってか可愛く見える)
(不思議な仔だな玉森って)
すると、タマはニコッと笑みを浮かべ。
(何が言いたいんだ?)
(心と身体が?)
(聞く?俺自身の心の声を)
途端その表情が見る見る辛そうな顔に変化していき
そして、ブルブルと身体を小刻みに震わしたかと
思うと。
(それって宮田のことを言ってるのか?タマお前…)
俺は何も聞かされていなかった、ただ「ここにいたら、また狙われる可能性があるから避難していろ」そう言われ俺も藤ヶ谷の足を引っ張りたくはなかったから。
(本当は傍にいたい…)
(そうかもしれない俺、藤ヶ谷のことが)
次に会ったとき確かめよう、そう思っていた彼奴に対し言わなきゃならない言葉が俺にはある気がして
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。