第17話

天使の微笑み⑰藤ヶ谷→北山side
300
2020/06/07 03:45
(はっ?今…なんて)

千賀
警察が動き始めた郁人を捕まえる為に


夕方、いきなり千ちゃんが来てそう言った。

千賀
どこにいるか知っている?ガヤちゃん


(そんなこと聞かれても…)

藤ヶ谷
昨日は俺んちに泊まり
千賀
それから?
藤ヶ谷
でも朝、起きたらいなくてさ
千賀
ちっ
藤ヶ谷
いったい何が起きたっていうんだ?
ちゃんと分かるように説明してくれ


吉泉のバカのせいで危うく、ひろがあの変態政治家野郎にやられそうになったのはまだ記憶に新しい。翌日、事務所で。

工藤
本当に申し訳なかった今後、私で力になれることがあればどんな事でも手を貸そう
藤ヶ谷
それは無理難題であってもって意味か
工藤
もちろん、そのつもりだ
藤ヶ谷
分かった、そのときは遠慮なく
利用させてもらう断ったら
工藤
それはない約束する
藤ヶ谷
ふっ


が、その時にはもう。
千賀
吉泉が行方不明になり
捜索願いが出され
藤ヶ谷
ちょ待て、だったら怪しいのは
郁人じゃなくて
千賀
会ってたんだ翌朝、あいつと
藤ヶ谷
なに!


(単独行動をしていやがったのか)

千賀
そこまで分かった時点で遺体が
見つかって
藤ヶ谷
だからって彼奴がそんなこと
するわけないじゃん
千賀
郁人の指紋が付いた手帳を握り
しめていたんだってさ
藤ヶ谷
吉泉がか?
千賀
ガヤちゃんも知っているだろ?
いつも持っていた
藤ヶ谷
情報を書き込んでいたメモか
千賀
そう


(それで警察は郁人を犯人と決め込んだってわけだ)

千賀
どうすればいい?ねぇガヤちゃん


(だが、これは完ぺき誰かの罠だ)

千賀
いつも情報を持って来ている郁人が
こんなんじゃ俺達どう動いたらいい
か分からないじゃん、クッ


(理由があるとしたら、それだな)

千賀
なんとか見つけ出し、かくまって
やらないと


(俺らを足止めし、それから)

千賀
捕まったら間違いなく刑務所行き


(ハッ、狙いはひろか?だとしたら目的は俺を陥れるため仕返し?そんな事をするのは)

藤ヶ谷
千ちゃん今すぐ皆を集めてくれ


と、そのとき。

横尾
もう来ている
藤ヶ谷
ワタ!


渉がドアを開け、その後ろに。

五関
郁人の行方は良亮と俺で捜す
橋本
任してガヤ
藤ヶ谷
お前ら
塚田
俺は宮田の傍にいるよ彼奴が狙われるとは考えられないけど、何かあったら玉森が悲しむ
藤ヶ谷
頼むよ塚ちゃん
横尾
その裕太なんだが
藤ヶ谷
なに?
横尾
今、ニカとトッツーの2人で
お前んちへ行っている
藤ヶ谷
はっ?
横尾
ミツと話しがしたいとか言ってな
藤ヶ谷
なんの?
横尾
さぁ


(あいつ、なんの為に?)
千賀
でも危険なんじゃ
五関
3人もいるんだ
塚田
北山を含め4人、そう簡単には手出しはできない
千賀
だといいけど
横尾
心配しなくてもボディガードが
ついている
藤ヶ谷
えっ
横尾
塚ちゃんに負けないくらい
強い奴が、ふっ


(んっ?誰…)
.
はぁ~凄い部屋やなぁ、こんなところに住めるなんて羨ましい限りや


塚ちゃんの友達らしい。

横尾
忍者仲間なんだと
五関
前から気になっていたんだけどさ
なんで忍者なの?
塚田
同好会さ
五関
はあっ?


元々は意味不明な奴だから、深く突っ込まない方がいいのかもしれない。

千賀
俺は引き続き警察内部を探り
捜査の情報を流す
藤ヶ谷
バレないよう気をつけるんだよ
千賀
分かっているって
横尾
太輔は今からマンションに戻れ
裕太やニカたちには俺から連絡
しておく、そして


「あぁ、それが一番なのかもしれない彼奴の家なら安全だし」が、予想以上にひろが…

北山
嫌だ藤ヶ谷の傍にいる
藤ヶ谷
危ない危険だ
北山
どうして?


反抗したのには参ったけど取り合えず、それぞれ
連携しながら敵の策を探りつつ俺達は守りの体勢
を固めたんだ。

林田
ある意味、それは弱味を見せているのと同じだということを分かっているんでしょうかね藤ヶ谷くん


(そんなのは承知の上、そこまで大切に想える存在がいないアンタの方を俺は哀れだと思うよ林田)

仲間とは愛する人とは自分が生きて来た人生の証しなんだと、今の俺なら堂々と胸張って言えるから。こんな汚れた街の中で生まれ育った自分でもそれだけで後悔はない、この命張ってでも護り抜くことに







・北山side
玉森
どうぞ遠慮しなくていいから上がって
執事
お帰りなさいませ坊ちゃま
玉森
その呼び方やめてって言ったじゃん
執事
ですが
玉森
なんで弟の方は名前呼ぶのに俺は、
そんな古くさい言い方をされなきゃ
ならないのさ
執事
跡継ぎでいらっしゃいますから
玉森
わけ分かんない


バタン!

執事
坊ちゃま
北山
もしかして宮田の?
執事
はい父ですが俊哉のお友達ですか
北山
え…あ‥まぁ
執事
ごゆくっりおくつろぎ下さいませ、
坊ちゃまのこと宜しくお願いします
北山
お、じゃま…します


(なんだか雰囲気が似ているタマの尻に敷かれているところなんか特に、クスッ)

昼間…

玉森
忘れたの俺、宣戦布告したはずたよ


とつぜん来て、そう言われた。

玉森
本気でガヤと付き合う気がないなら
身を引いて


(ビックリしたよ本当に)

北山
身を引くも何も俺と藤ヶ谷は
玉森
言われたんでしょ
北山
えっ
玉森
自分でどうするのか決めればいいって
北山
それ…は
玉森
だったらもう自由にしてやっていいって事なんだし好きにすればいいじゃん
北山
タマ
玉森
それともなに?愛してはいないけど
気持ちがいいからやりたい勝手だな


(ズキン!)

玉森
そんなの許さないからガヤを性欲の
対象でしか見ていないだなんて絶対


(また忘れていたわ俺…)

玉森
何を話していたの宮田の父親と


(タマは藤ヶ谷のことが好きだったんだっけ)

玉森
ミツ?
北山
あ…悪い‥なに?
玉森
ふっ、まぁいい


それから、藤ヶ谷が帰って来て。

藤ヶ谷
暫くタマんちへ行ってな


そう言われ…

(はぁ~俺、忘れてばっかだな彼奴に返事をしろって言われたこともタマに言われるまですっかり頭の中から消えていたし)

玉森
それより


このまま何事もなかったかのように一緒に暮らせると思っていた自分の甘さが情けなくなってしまう。

玉森
1つ聞いてもいい?
北山
なに
玉森
どうして嫌じゃなくなったわけ
ガヤとするのが
北山
へっ?


(うわっ、なに!?こいつ随分と唐突に質問するな)

玉森
教えてくれない?参考までに
北山
参考?
玉森
俺、まだした事がないから
北山
ぁ…‥


(なんだろ)

玉森
どんなことを思ってるわけ?
している最中って


(あんなに怒っていたのに、今は優しいってか可愛く見える)

玉森
中へ出されたとき幸せを感じる?


(不思議な仔だな玉森って)

玉森
終わったあと、どんな気持ちになるの
北山
ん~安らぐ…感じ?
玉森
ふっ


すると、タマはニコッと笑みを浮かべ。

玉森
宮田が言ってた
北山
はっ?
玉森
愛している人に抱かれたら
身体は喜びに震え
北山
‥‥っ
玉森
堪らなく嬉しくて涙が出る、人は
生まれ持った感覚で自分が想う人
に溺れ、それを受け入れた喜びを
全身で感じるんだって


(何が言いたいんだ?)

玉森
その人の腕の中に包まれ相手のものであることに安らぎを覚え
北山
タマ?
玉森
見つめてミツ、自分の気持ちを…
その心の中には今、誰がいるのか
北山
えっ
玉森
そしたら気づくはず答えはもう出てるんだから、身体と心が示しているのが何よりの証拠、ふふふっ


(心と身体が?)

玉森
伝えようとしていたはず、その声ちゃんと聞かなくっちゃ


(聞く?俺自身の心の声を)

玉森
失ってから分かるんじゃ
遅いんだからね
北山
玉森
玉森
だってそうだろ?世の中なにが起こるか分からない予想もしていなかった事でアッて気づいた時にもしその人が
北山
ぁ…‥


途端その表情が見る見る辛そうな顔に変化していき

玉森
怖かった…本当に‥クッ


そして、ブルブルと身体を小刻みに震わしたかと
思うと。

玉森
すっごく…あの笑顔が‥もう見れなく
なる…自分のこと‥見てくれる瞳が…
このまま開かなかったら‥そう思っ
たら怖くて…俺‥


(それって宮田のことを言ってるのか?タマお前…)

玉森
ガヤだって、いつ危険な目に遭うか
分からないんだ今回は特に


俺は何も聞かされていなかった、ただ「ここにいたら、また狙われる可能性があるから避難していろ」そう言われ俺も藤ヶ谷の足を引っ張りたくはなかったから。

(本当は傍にいたい…)

玉森
その言葉が全てなんじゃない、ニコッ


(そうかもしれない俺、藤ヶ谷のことが)

次に会ったとき確かめよう、そう思っていた彼奴に対し言わなきゃならない言葉が俺にはある気がして




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