(それにしても、こいつら…よく平然とまぁ~いろんなことを言ってくれる)
(ったく…)
「そう簡単に言葉で言い表せる事じゃないんだから」と、そのとき。
みやと、タマの2人がやって来て。
とたんタマは、北山の傍へ行くと。
上から下まで、見下ろしたかと思ったら。
(タマ、はぁ…)
「はぁ参った」こいつにだけは、どうも強気に出れない自分がいる。
(あぁ確かに俺は、こいつが可愛くて仕方がない北山とは違う意味で)
バタン!
バタン!(取り合えず、みやに任せておくか)
(そうその通りさ北山、俺はお前を男とか女とかじゃなく好きなんだ分かっている?この気持ち)
その日なぜだか、みやは夜になったらまた来て。
「あっ、あり得ない」たった数分で瞬く間に仲良くなってしまい「なんでだ?」
(いまいち心を許してくれなくて悪戦苦闘しているっていうのに)
そしたら、こいつ。
でも…
緊張感を解いてやれば懐くはずだと。
(悪かったな)
(お前、言ってくれるじゃん)
「お前、協力しようとしているのかおちょくってるのかどっちなんだよ?」が…次の日、宮田から渡された本を見て。
(モモンガの飼い慣らし方?完全におちょくってる
じゃん、しかし…あいつを小動物に見立てるところは自分と同じだな、目がクリッとして背が小さく‥そんな容貌が例えさせるのかもしれない)
そう思う、そしてこの日を境に俺の我慢大会が始まったんだ、その心を自分の方へ向ける為に。
【上手な飼い慣らし方】
1日目ー
新しい環境で動物は非常にストレスを感じています触ったりしないで、そっとしておきましょう身体が小さくデリケートなので決して暴力など振るわないこと。
「くっそ、こんなのあてになるわけない」
ガチャ、バシッ!
「ハッ、やべぇ」頭にきて本を壁へ投げつけたのと、北山が部屋の中へ入って来たのがほぼ同時で。
「決して暴力は振るわないこと」(怯えた目をして
いる)
ベタな言い訳…
(そう来たか、ハハッ…が、お前を手懐ける参考にしているとは言えないし)
そう言うと、北山はパラパラとページをめくり始め
(くっ、ちくしょうめっちゃ可愛い顔していやがる)
(触りたいキスして抱き寄せエッチがしたい、ダメだ我慢ができない)
しかし手を出しかけた、その瞬間に「1日目は触らず、そっとしておくこと」
バタン、背を向け部屋から出て行く一緒にいたら
やらずにはいられないから。
2日目ー
「まだ環境には慣れていません」
家へ帰ると、北山が台所でが何か洗い物をしていて
「ピンクのエプロン?誰かにもらったのか」白い服に映え堪らなくいい。
「優しく名前を呼んであげましょう」
ドキッ、振り向いた姿が眩しく見える。
そして数日が経ったある日のこと、帰宅したら真っ白な洋服を着た北山が。
玄関まで迎えに出て来てくれて。
が、背を向けたまま。
チラッと視線を向けると俯いている姿が見え、
でも…
優しく名前を呼べば顔を持ち上げ俺が何か言うのを待っているみたいに見つめ「何日か経つと触らせてくれます」
(ふっ、ニコッ)
頭を撫でてやったら、されるがままシッとしていて「そっとスキンシップをはかりましょう」
バタン!「このときも、無駄に追い回したりしないよう」(が、長く触っていると理性が…くぅーっ)
「コツは絶対に驚かせないことです」
(はぁ~結構シンドイわ、これ)
その頃、事務所では。
更に数日後…
ガチャ!
「努力は必ず実を結ぶはずです」
頭を撫でてやると微笑む北山。
「貴方に対し信頼をおくようになります」
(確かに努力は実を結んでいるのが目に見えて分かる…が、しかし)
それは、この数日間の禁欲生活と引き替えの成果なわけでつまりこのままじゃ永久に肉体関係には持ち込めないってこと。
(それじゃ意味がないんだよ気のいい飼い主を目指してるんじゃないんだ俺は、くっそ…今夜こそ絶対にやってやる、ようは警戒させなければいいってことだろ)
そう思い、昼間のうちに部下に言って酒を買わせておいた苦肉の策ってわけ「だがこれで一歩前へ進めれば」
ギシッ、ギシッ!
(こんなふうにラブラブになれるかもしれないんだからよ、よし気合いを入れて酔わせてやるから覚悟しとけ、もちろん俺に溺れさせ、ニッ)
てなわけで俺は何か間違えている事に全く気づかず意気揚々と部屋へ向かった溜まっている欲をたぎらせ、その先に待っているだろう熱々な生活を頭の中で描きつつ。
そんな俺に北山は…
(口に合うかどうかは保証しないって事か、クスッ)
俺は持っていた酒のビンを北山に見せる、そして。
そう言うと…
1時間後ー
計画通り酔いつぶれたこいつをベットの上へ連れて行き、ドサッ!
「真っ赤な顔をしやがって」指で唇に触れると吐息が微かに漏れ「ふっ、可愛い」チュッと重ねた唇。
それから胸へ手をやり撫で始めたら。
「これならいける」そう確信した俺はチクビを舐めしゃぶりついたんだ、すると…
「信じられない普段の嫌がりようが嘘みたいだ」と、そのとき。
(はあっ?この場に及んで、こいつはまだ俺のことを気のいい飼い主だと思っているのか)
「お前といると理性が利かなくなるから」なーんて本人には言えないけど、それも今日で。
(なんのことを言っているんだ?)
(あっ、あのときの…)
俺は、なんだか気が抜けてしまう。
ここ数日間の努力より無意識に出た一言の方が北山の心を動かしていただなんて。
と、今度はフニャフニャと笑みを浮かべながら横へと体位を変え肩から見える肌の露出が、色っぽさを増し「チュッ、チュッ」俺はそのまま愛撫をし続け
そんな北山へ話しかけたんだ。
(もっと、もっと哭けほら)
そこへチュッとキスを落とせば…
北山は小刻みに身体を震わしシーツをギュッと掴み
それから。
ズリュ、ズリュ、グチュ、グプッ!
酔いもあったんだろうが北山は、このとき今までにはないほどに乱れまくり。
何度もイッては声を上げ…
俺の名を呼び続けて。
俺も初めてとも言える、こいつのマジな声に益々
燃え上がってしまい。
ズボッ、ズボッ!
激しく攻めまくってしまう。
かなり溜まってた事もあったし。
(寝ながら笑っている、クスッ…ってことは満足したって事か?これで俺とする良さが分かって明日からはラブラブ出来るってわけ)
が、しかし…
(覚えてないだと、ふざけんじゃねぇ)
酔いが醒めた北山は、あんなにも激しく燃え最高だった2人の夜のことをすっかり忘れてしまっていて
俺の夢は儚くも消え失せてしまう
(だが諦めはしない、この次は記憶を無くさない程度に飲ませればいいんだから、よし今度はいつ飲ませてやるかな作戦を練ってやる)
懲りない俺は翌日から次の機会を伺っていたんだ、もちろん自然体で行くと決めたからには、やるのも我慢せずそれからもし続けたのは言うまでもない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。