第10話

天使の微笑み⑩藤ヶ谷side
430
2020/06/03 05:46
(それにしても、こいつら…よく平然とまぁ~いろんなことを言ってくれる)

北山
だったら、どうして?
五関
それは本人に聞いた方が
いいんじゃない?
横尾
そうだね、ふっ
戸塚
でも知ったときには驚いたよ
二階堂
とうとうガヤも俺達の仲間入り!?
なーんちゃって
藤ヶ谷
俺は今でもノーマル、
一緒にするんじゃねぇ


(ったく…)

千賀
だけどエッチはしているんでしょ?
ミツと、ニヤッ
河合
あんなことやこんな事とか、うひひっ
藤ヶ谷
こいつは特別、お前らとは違う
北山
‥‥っ
橋本
どんなふうに?
藤ヶ谷
いちいち言う必要はない、この話しはここで終わりだ分かったな


「そう簡単に言葉で言い表せる事じゃないんだから」と、そのとき。

宮田
遅くなってゴメ~ン
玉森
ガヤ
藤ヶ谷
タマ


みやと、タマの2人がやって来て。

二階堂
遅すぎだよ
千賀
もう紹介は、とっくに済んじゃってるしさ
宮田
出る前にちょっと立て込んじゃって


とたんタマは、北山の傍へ行くと。

玉森
ふーん
北山
なっ、なに?
玉森
なるほどね
北山
はっ?


上から下まで、見下ろしたかと思ったら。

玉森
宮田、どっちが可愛いと思う?
宮田
もちろんタマに決まってるじゃん
玉森
そっ、なら俺にも勝ち目があるな


(タマ、はぁ…)

玉森
ってことでガヤ、俺は諦めないから
藤ヶ谷
あのな前にも言ったけど俺は
玉森
弟みたいにしか見ていない、でしょ?
藤ヶ谷
ぁ…あぁ
玉森
構わないよそれでも、だってガヤは俺のこと好きだって言ってくれたもん
藤ヶ谷
だから、それも
玉森
んふふっ


「はぁ参った」こいつにだけは、どうも強気に出れない自分がいる。

戸塚
玉森裕太、かの有名な玉森財閥の息子
北山
なっ
河合
どういうわけだか太輔にベタ惚れで、
ある日わざわざ自分から会いに来てさ
塚田
あぁやって付きまとっているってわけ
五関
ノンケと知っても諦めずにね、ふっ
二階堂
でもガヤの方もまんざらじゃ
ないみたい
千賀
何故だかタマには弱いんだよなぁ~
ガヤさん、クスッ
塚田
可愛いからな、ニコッ
橋本
うん


(あぁ確かに俺は、こいつが可愛くて仕方がない北山とは違う意味で)

玉森
というわけで宮田、帰るよ
宮田
ええっ、もぉ?
玉森
長居する必要はない俺はガヤが
初めて手を出した男の顔を見て
みたかっただけだし
北山
ぁ…‥
玉森
負けないから、キッ
北山
へっ?
玉森
宣戦布告しているの分からない?クスッ
北山
はぁ…
玉森
じゃ、ニコッ


バタン!

宮田
待ってタマ、あっゴメン今のは気に
しなくていいよ、アハッ
北山
‥‥‥
宮田
1人で帰っちゃダメだってばぁーっ


バタン!(取り合えず、みやに任せておくか)

北山
あの…宮田ってやつは?
横尾
裕太の執事の息子で叶わぬ恋心を抱え
あぁやって傍にいるってわけ
五関
ふっ、いじらしいくらいにね
北山
同じなんだな
横尾
んっ?
北山
想う気持ち異性・同性、問わず
恋をすれば


(そうその通りさ北山、俺はお前を男とか女とかじゃなく好きなんだ分かっている?この気持ち)

その日なぜだか、みやは夜になったらまた来て。

宮田
本当にゴメン驚いちゃったでしょ?
北山
少し、けどもう大丈夫だから


「あっ、あり得ない」たった数分で瞬く間に仲良くなってしまい「なんでだ?」

藤ヶ谷
なぁ?どんな手を使って彼奴を
懐かせたんだよ
宮田
別に、なんにも
藤ヶ谷
なわけないじゃん俺でさえまだ


(いまいち心を許してくれなくて悪戦苦闘しているっていうのに)

そしたら、こいつ。

宮田
リラックスさせてあげればいい
んじゃない
藤ヶ谷
どんなふうに?
宮田
性格は、ちょっと人見知りがある
けれど順応性は抜群だと思う


でも…

宮田
感受性が強く漂う雰囲気とかに
影響されやすいのかもね


緊張感を解いてやれば懐くはずだと。

藤ヶ谷
それが出来れば苦労はしないさ、チッ
宮田
ガヤさんは、そういうことに気を遣わなくても顔や身体、お金の力でモノにして来たからね、クスッ


(悪かったな)

宮田
それが通用しない相手は初めてで
困っているんでしょ


(お前、言ってくれるじゃん)

宮田
いい薬かも、クスッ
藤ヶ谷
なっ、調子に乗るんじゃない
宮田
あれいいのかな?せっかく良い方法があるっていうのに、ニヤッ
藤ヶ谷
なんだよ?
宮田
明日また来るからそのときに、ニコッ
藤ヶ谷
はっ?今、教えろって
宮田
だって持って来てないんだもん心配
しなくても、ちゃ~んと教えるから
藤ヶ谷
本当だな?
宮田
お金と顔と身体、この3つを除いたらガヤさんに何が残るのか見てみたいし


「お前、協力しようとしているのかおちょくってるのかどっちなんだよ?」が…次の日、宮田から渡された本を見て。

(モモンガの飼い慣らし方?完全におちょくってる
じゃん、しかし…あいつを小動物に見立てるところは自分と同じだな、目がクリッとして背が小さく‥そんな容貌が例えさせるのかもしれない)

そう思う、そしてこの日を境に俺の我慢大会が始まったんだ、その心を自分の方へ向ける為に。
【上手な飼い慣らし方】

1日目ー

新しい環境で動物は非常にストレスを感じています触ったりしないで、そっとしておきましょう身体が小さくデリケートなので決して暴力など振るわないこと。

藤ヶ谷
げっ、初めから襲ってしまった俺は
絶望的じゃん


「くっそ、こんなのあてになるわけない」
ガチャ、バシッ!

北山
うわっ、なんだわ!?


「ハッ、やべぇ」頭にきて本を壁へ投げつけたのと、北山が部屋の中へ入って来たのがほぼ同時で。

藤ヶ谷
いっ、いたんだ?


「決して暴力は振るわないこと」(怯えた目をして
いる)

藤ヶ谷
ごっ、ゴキブリが出たからさ…ハハッ
北山
そうなんだ?こんな綺麗なところ
にもいるんだな
藤ヶ谷
あ…まぁ


ベタな言い訳…

北山
んっ?この本は
藤ヶ谷
そっ、それは…みやが
北山
もしかして何か飼っているわけ?
藤ヶ谷
えっ、あぁ…アハッ


(そう来たか、ハハッ…が、お前を手懐ける参考にしているとは言えないし)

北山
見てもいい?
藤ヶ谷
おう、ふっ


そう言うと、北山はパラパラとページをめくり始め

北山
かっわいぃーっ、ニコッ


(くっ、ちくしょうめっちゃ可愛い顔していやがる)

北山
んふふっ


(触りたいキスして抱き寄せエッチがしたい、ダメだ我慢ができない)

しかし手を出しかけた、その瞬間に「1日目は触らず、そっとしておくこと」

藤ヶ谷
じっ、事務所へ行って来る、お前は
もう寝てていいから
北山
えっ、でも
藤ヶ谷
いいから寝てろ
北山
‥‥っ


バタン、背を向け部屋から出て行く一緒にいたら
やらずにはいられないから。

2日目ー
「まだ環境には慣れていません」

横尾
なんだ?この本


家へ帰ると、北山が台所でが何か洗い物をしていて

藤ヶ谷
んっ?


「ピンクのエプロン?誰かにもらったのか」白い服に映え堪らなくいい。

「優しく名前を呼んであげましょう」

藤ヶ谷
北山
北山
なに?


ドキッ、振り向いた姿が眩しく見える。

藤ヶ谷
あ、いや今日も遅くなるから先に
メシを食ってていいよ
北山
…ん‥そう


そして数日が経ったある日のこと、帰宅したら真っ白な洋服を着た北山が。

北山
お帰り、ニコッ


玄関まで迎えに出て来てくれて。

北山
今日は早かったんだな、んふふっ


が、背を向けたまま。

藤ヶ谷
着替えを取りに来ただけだから、すぐ事務所へ戻らなければならない
北山
そっ…


チラッと視線を向けると俯いている姿が見え、
でも…

藤ヶ谷
北山
北山
んっ?


優しく名前を呼べば顔を持ち上げ俺が何か言うのを待っているみたいに見つめ「何日か経つと触らせてくれます」

(ふっ、ニコッ)

頭を撫でてやったら、されるがままシッとしていて「そっとスキンシップをはかりましょう」

藤ヶ谷
じゃまた
北山
ふっ、藤ヶ谷


バタン!「このときも、無駄に追い回したりしないよう」(が、長く触っていると理性が…くぅーっ)

「コツは絶対に驚かせないことです」
(はぁ~結構シンドイわ、これ)

その頃、事務所では。

二階堂
ワッター、なにやっているんだ
横尾
んっ?あぁ
二階堂
本?
横尾
太輔のデスクにあったんだ
二階堂
ふーん
横尾
それより、どうかした?
二階堂
なぁ最近のウサギやネズミって
酒を飲むのか
横尾
はっ?なにわけの分からないことを
言っている
二階堂
だって、さっき廊下でガヤが


更に数日後…

.
お酒…ですか?
藤ヶ谷
なるべく飲みやすく度合い
高めのやつを頼む
.
それって甘い系ってことですよね
社長がお飲みになるには珍しい
藤ヶ谷
バカ、俺じゃねぇよ
.
では、どなたが?
藤ヶ谷
…兎か‥ネズミ?
.
???


ガチャ!

北山
お帰り今日もまだ仕事があるの?
藤ヶ谷
いや


「努力は必ず実を結ぶはずです」

藤ヶ谷
もう済ませて来た


頭を撫でてやると微笑む北山。

「貴方に対し信頼をおくようになります」
(確かに努力は実を結んでいるのが目に見えて分かる…が、しかし)

それは、この数日間の禁欲生活と引き替えの成果なわけでつまりこのままじゃ永久に肉体関係には持ち込めないってこと。

(それじゃ意味がないんだよ気のいい飼い主を目指してるんじゃないんだ俺は、くっそ…今夜こそ絶対にやってやる、ようは警戒させなければいいってことだろ)

そう思い、昼間のうちに部下に言って酒を買わせておいた苦肉の策ってわけ「だがこれで一歩前へ進めれば」

北山
太輔、ニコッ
藤ヶ谷
宏光、チュッ
北山
んっ、あっ、あぁ


ギシッ、ギシッ!

(こんなふうにラブラブになれるかもしれないんだからよ、よし気合いを入れて酔わせてやるから覚悟しとけ、もちろん俺に溺れさせ、ニッ)

てなわけで俺は何か間違えている事に全く気づかず意気揚々と部屋へ向かった溜まっている欲をたぎらせ、その先に待っているだろう熱々な生活を頭の中で描きつつ。

北山
夜食でも作ろうか?
藤ヶ谷
お前が
北山
俺、独り暮らしをしていたから
一応は出来る


そんな俺に北山は…

藤ヶ谷
どうして、一応が付くんだよ?
北山
ほら味は人それぞれ好みがあるだろ?だから


(口に合うかどうかは保証しないって事か、クスッ)

藤ヶ谷
なら酒の肴になりそうなものを
軽く頼む


俺は持っていた酒のビンを北山に見せる、そして。

藤ヶ谷
せっかくだから、お前も付き合え


そう言うと…

北山
じゃちょっとだけ
藤ヶ谷
ふっ
北山
今すぐ用意して来るから


1時間後ー

北山
んーふふふっ…もう‥飲めない…フフッ


計画通り酔いつぶれたこいつをベットの上へ連れて行き、ドサッ!

北山
でも…もっ‥ちょ…っと‥飲んで…ムニムニ
藤ヶ谷
こら、まだ寝るんじゃない
北山
はぁ…熱‥い‥ハァハァ


「真っ赤な顔をしやがって」指で唇に触れると吐息が微かに漏れ「ふっ、可愛い」チュッと重ねた唇。

北山
んっ


それから胸へ手をやり撫で始めたら。

北山
ふっ、あっ、んっ


「これならいける」そう確信した俺はチクビを舐めしゃぶりついたんだ、すると…

北山
ああっ、んっ、ビクビクン、そこ、あっ
藤ヶ谷
気持ちいいの?
北山
はうっ…んっ‥ふぅ


「信じられない普段の嫌がりようが嘘みたいだ」と、そのとき。

北山
んふふっ、ニコッ
藤ヶ谷
なに笑っているんだよ?お前
北山
んーなんだか安心しちゃって


(はあっ?この場に及んで、こいつはまだ俺のことを気のいい飼い主だと思っているのか)

北山
もしかしたら俺、藤ヶ谷に避けられているのかと思ってたからよ、フフッ
藤ヶ谷
なわけないじゃん
北山
だって、ご飯も別々で帰って来ても
すぐ何処かへ行ってしまうし
藤ヶ谷
あれは


「お前といると理性が利かなくなるから」なーんて本人には言えないけど、それも今日で。

北山
なぁもう1回言って
藤ヶ谷
んっ?
北山
この前、俺に言ったこと特別だって


(なんのことを言っているんだ?)

北山
なぁ、なぁーってば


(あっ、あのときの…)

北山
正直、不安だったけど藤ヶ谷がそう
言ってくれたから、もう1回、なっ
藤ヶ谷
ふっ、分かったよ


俺は、なんだか気が抜けてしまう。

藤ヶ谷
特別だ、ニコッ
北山
んふふっ、もう1回


ここ数日間の努力より無意識に出た一言の方が北山の心を動かしていただなんて。

藤ヶ谷
特別、特別、特別だ
北山
もーっと、んふっ
藤ヶ谷
あぁーマジで特別いろんな意味でさ
北山
それどういう意味?


と、今度はフニャフニャと笑みを浮かべながら横へと体位を変え肩から見える肌の露出が、色っぽさを増し「チュッ、チュッ」俺はそのまま愛撫をし続け

藤ヶ谷
とにかく今回のことで悟った
北山
なに…を‥あっ


そんな北山へ話しかけたんだ。

藤ヶ谷
妙な小細工や無理な我慢はやめにする愛情表現はストレートの方がいいみたいだから、ふっ
北山
はっ?意味…わか‥んね
藤ヶ谷
ってことで、さっそくいかせて貰うよ
北山
ああっ


(もっと、もっと哭けほら)

藤ヶ谷
こういう意味だって


そこへチュッとキスを落とせば…

北山
あふっ、あっ、んっ


北山は小刻みに身体を震わしシーツをギュッと掴み
それから。

北山
ふっ、藤ヶ谷、あっ
藤ヶ谷
気持ちいいときは素直にイイって
言うんだぜ
北山
ああぁ…ビクンビクン
藤ヶ谷
ほら言ってみ?お前のだってこんなに硬くなってるじゃん
北山
はあっ、いっ…い
藤ヶ谷
そうだ、それでいい今度は
しゃぶってやるから
北山
うあっ、あっ


ズリュ、ズリュ、グチュ、グプッ!

北山
はあっ、んっ、あっ、いっ、あぁーっ


酔いもあったんだろうが北山は、このとき今までにはないほどに乱れまくり。

北山
ああっ、出ちまうぅ~


何度もイッては声を上げ…

北山
藤ヶ谷、藤ヶ谷あぁ


俺の名を呼び続けて。

北山
ひっあっ、ああぁ


俺も初めてとも言える、こいつのマジな声に益々
燃え上がってしまい。

藤ヶ谷
今度は後ろから行く


ズボッ、ズボッ!

北山
うああっ、ぶつかってる、奥にぃーっ


激しく攻めまくってしまう。

北山
あぁ、イクっ、ああぁ
ひあっ…ドクンドクン


かなり溜まってた事もあったし。

北山
…ん‥フフッ


(寝ながら笑っている、クスッ…ってことは満足したって事か?これで俺とする良さが分かって明日からはラブラブ出来るってわけ)

が、しかし…

北山
昨日の夜のこと?


(覚えてないだと、ふざけんじゃねぇ)

酔いが醒めた北山は、あんなにも激しく燃え最高だった2人の夜のことをすっかり忘れてしまっていて

北山
んー頭が痛い、もっ、二度と酒なんか飲まねんだからな、クッ


俺の夢は儚くも消え失せてしまう

(だが諦めはしない、この次は記憶を無くさない程度に飲ませればいいんだから、よし今度はいつ飲ませてやるかな作戦を練ってやる)

懲りない俺は翌日から次の機会を伺っていたんだ、もちろん自然体で行くと決めたからには、やるのも我慢せずそれからもし続けたのは言うまでもない。




プリ小説オーディオドラマ