初めは、何が起きたのか全く分からなかった。
従兄弟の淳平に呼び出され一緒に歩いていたとき、キキィーッ!
バタン、ブロロロ.~真横に停まった車の中へイキなり引きずり込まれハンカチで口を塞がれ。
そのまま意識を失い気がついたときには、ピカッ!
「わっ、眩し…くっ」ライトの光りに照らされて
いて。
「なんだ、これ!?」朦朧とする意識の中で、聞こえてきた周囲のざわめき。
(どういうこと?)
無理矢理に正面を向かされ両足までもが大きく開き、けれど何故だか身動きがとれずに。
ただ、虚ろな瞳で一点を見つめていたら。
目の前に人影がボンヤリと見え、ふわっと身体が
持ち上げられて再び意識が途切れてしまい。
次に気がついたときには柔らかいベットの上で寝かされていたんだ。
(頭が痛い!)
上から覆い被さるように見下ろし心配そうに見つめている人、自分と同じくらいの年齢だろうか「いや少し上?」状況が分からず茫然としていると。
が、離れて行こうとしたそのとき。
グイッと俺は、咄嗟にその腕を引っ張ってしまい。
ガバッと起きあがると。
とたん、グラッと身体が傾いてしまい。
すると…
(淳平が俺を売り飛ばした!?)
渡されたのは、何かの書類みたいなもん。
『○○金融、300万借り
△△金融、2000万
利息、700万 』
信じられない金額が、目の前に並んでいる「これ…は!?」
(イカ…サマ?)
グイッと立ち上がろうとした途端に両手で抑え込まれ。
が、思わず口走ってしまった言葉にその表情が険しくなり。
ドサッと突然、押し倒され。
信じられない現実が怒濤の如く押し寄せギシギシと軋むベットの音と共に悲しみが心を引き裂いていく
(んやだ、こんなの嫌だあぁ~)
そして、この日が始まりだったんだ俺と藤ヶ谷が
運命に弄ばれるかのような関係を持つようになっ
たのは。それは周囲を巻き込み抜け出せない迷路
の中で足掻くかのように続いてく事となる。
切ないまでにも心を揺らし…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。