第191話

愛と嘘の結末… 46
2,810
2023/04/22 14:00







ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
大丈夫?
あなた
…ネビル……
必要の部屋の隅に座り、彼の写真を見つめていると
ネビルが優しく微笑みながら、私の隣に腰を下ろした。

その時、反射的ではあるが 私は後ろめたいものを隠す子供のように、写真を胸元まで引き寄せようとした。
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
隠さなくてもいいよ
それとも、見られたくない?

ネビルは、私の行動を不快に思う様子もなく
むしろ、少しからかうように私の顔を覗いて笑った。

私もそれに、薄らとした笑みを返す。
あなた
…言うようになったわね、ネビル
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
ふっ…そうかな?
ドラコの事、やっぱり心配?

ネビルはそう言うと、気遣わしげな表情を浮かべながら
私のことを見つめ、首を傾げた。
あなた
あの時、ルーナから様子は聞いたけど…
それから、もうすぐ1ヶ月が経つわ
あなた
無事だとは思うけど…
でもやっぱり、会わないと安心できないの

私が再び、彼の写真を見つめながらそう言うと
ネビルは小さく「そっか」と呟いて頷いた。
あなた
でも、こんなの良くないわよね……
みんなにとって…
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
え?
あなた
みんなが…ハリー達や騎士団の事を心配してる中で、私が心配してるのは…
そこまで言いかけて、私は言葉を詰まらせた。

例の一件以降、ドラコが死喰い人であるという事は大半の生徒が認知していた。しかしそれでも、ダンブルドア軍団が集まるこの必要の部屋で"死喰い人"なんて名前を出せば、視線が集まるに違いない。

そう考えてる私に気が付いたのか、ネビルは『言わなくていいよ』とでも言うように少し微笑むと、言葉を選ぶようにして口を開いた。
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
好きな人を心配するのなんて…
当たり前の事だよ ((ニコッ
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
それに、ドラコは望んでなったわけじゃないって…あなたはそう思ってるんでしょ?
あなた
えぇ…でも所詮は、私の憶測だから…
そう、彼から『望んで死喰い人になったわけじゃない』
なんて台詞は、ただの1度も聞いたことはない。

それでも私は"彼は望んでいない"そう信じている。
だけど、そんな根拠もない私の考えを全員が信じてくれているわけが無いと、私はそう思っている。

あの頃のハリーがそうであったように。
あなた
みんなは、そんな風には……
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
ドラコって、本当に変わったよね
あなた
え…?
確かにドラコは変わった。だけど、今ネビルがそんな事を話し出すと思っていなかった私は、唐突に発せられたネビルのその言葉に、1度小さく声を漏らすと、眉を顰めて首を傾げた。
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
あなたがよく怒ってくれてたけど…下級生の頃は、僕ドラコにやられっぱなしだった…笑
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
だけど、ある日…ドラコに謝られたんだ
僕、びっくりしたよ
あなた
…………
初耳だった。ハーマイオニーに謝る時は、私もその場に一緒にいたけど、まさかネビルにもちゃんと謝っていたなんて…

3年生の頃、1度注意した時は「からかってただけさ」
なんて、謝る気もなさそうに不貞腐れていたくせに…

自分のした事を謝るのは、別に褒められた事じゃないけど、私の知らない所での彼の行動に思わず顔が綻ぶ。
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
ドラコが変わったきっかけは…
紛れもなく、あなただと思うよ
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
それで、ドラコが変わる前も…
変わってからも…そばにいたのは君だ
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
ホグワーツで過ごしてる間
ドラコを近くで見てたのも…
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
そんな君が言うことなら
きっとみんな、信じてると思うよ
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
この空間には、あなたを疑ったり
蔑む生徒なんてもういないよ
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
少なくとも、僕やルーナは…
あなたの言うことを信じてる ((ニコッ

ネビルは、真っ直ぐな視線でそう言い終えると途端に「励ましになってるかな…」と不安げに小さく呟いた。

この1年で十分に着いた自信はどこにいったのか…と
私は、少しだけ笑みを零す。

確かに、ネビルの言う通り 7年生になってからは皆と何気ない話を出来るようになったし、噂話も罵倒の声も耳にする事は一切無くなっていた。

単なる環境の変化。そうも考えられるが、今のようにネビルやルーナが私にごく普通に話しかけてくれていた事が、1番大きいと私はそう思っている。
あなた
十分よ…ありがとう、ネビル ((ニコッ
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
…会えるといいね ((ニコッ
あなた
えぇ、そうね…((ニコッ
そう言ってネビルに微笑むと、私はまた写真に視線を落とした。写真の中のドラコは、ちょっとだけ恥ずかしそうに、はにかんだ笑顔を浮かべていた。

あまり写真を好まなかったドラコ。
だけど、これに写ってる彼は満更でもなさそうで…
とても幸せそうな姿に、私は少し笑みを零した。

だけど、この彼の笑顔を暫く見れていない。そう思ったら、上がったはずの口角も徐々に下がっていった。


この殺伐とした戦いが終われば…
また彼の、こんな笑顔が見れるだろうか。
あなた
ねぇ…ネビル…
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
ん?何?
あなた
ずっと聞こうと思ってたんだけど…
ネビルは将来何になりたいの?
写真を静かにしまいながら、私はネビルにそんな事を問いかけた。すると、予想外だったのかネビルは少し不思議そうな表情を浮かべた後、何か考えるような素振りを見せた。
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
んー…
あなた
薬草学の先生とか?
ほら、ネビル凄く詳しいし…
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
ははっ…いいね ((ニコッ
でも、一つだけやりたい事があるんだ
なれるかどうかは、分からないけど…
あなた
なに?
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
"闇払い"になりたい
ネビルは真剣な眼差しで、一点を見つめてそう言った。

その視線の先はただの床だったが、ネビルは瞳の奥で誰かの事を思い浮かべているようで、私はその相手が誰なのか、すぐに見当がついた。
あなた
ご両親のように?
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
うん…でも、どうだろう…
僕には、ハリー達みたいにッ…
あなた
なれるわよ。ネビルなら ((ニコッ
あなた
ご両親もきっと喜ぶわ
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
…そうかな?
あなた
えぇ、でも…ネビルのご両親なら
きっと、あなたがどんな道を選んでも喜んでくれるでしょうね
あなた
それでネビルが幸せなら ((ニコッ
ネビルのご両親は、今も聖マンゴに入院し続けている。

未だ、ネビルの事を息子だと認識する素振りは無いと言うが、ネビルがご両親を愛しているように、ご両親もまたネビルを愛しているし、幸せを願っているはずだ。

ネビルは、私の言葉に笑みを零すと静かに頷いた。
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
そう言う、あなたは…?
あなた
私は、とりあえず…
平穏に暮らしたいな、普通にね…
あなた
ふっ…夢無いかな?
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
そんな事ないよ ((ニコッ
でも、てっきりグラント 叔 母さんみたいに癒者を目指してるんだと思ってた
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
ここでのみんなの手当も、殆どあなたがしてくれてるし…
あなた
あぁ…そうね、叔母さんのように
癒者になるのも良いかもね ((ニコッ
あなた
でも、何となく…癒者になるよりも
両親の実験を継いでみたいかも…
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
あなたなら、どれも叶えちゃいそうだね
あなた
ふふっ…そうかな?
ネビルは、少しだけふざけ混じりにそんな事を言うと私に向かって優しく笑った。だけど、そのすぐ後には、私の瞳を見つめたまま、少しだけ声のトーンを落として私にある事を問いかけた。
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
他にはないの…?
あなた
ッ…どういう意味?

私がそう聞き返すとネビルは、『わかってるでしょ?』とでも言うように僅かに悪戯な笑みを浮かべた。
あなた
えぇ、あるわよ……
私一人じゃ、叶えられない夢がね…
私は敢えて、笑みを混じえてそう言った。

私が今1番願っている未来、いや、叶えるべき未来は…
前までのように、ドラコと共に過ごす事。
そして出来ることなら、幸せに平穏に彼と過ごしたい。

それは、きっと何があっても変わらない。

ネビルは、私から明確な答えを聞かずとも私の言葉が何を指してるか分かったのか、安心した笑みを浮かべた。
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
僕はその夢…
案外、直ぐに叶うと思うな ((ニコッ
あなた
そうだといいな…((ニコッ
ホグワーツの殺伐とした空間の中にいるとは思えないほど、私とネビルの間には穏やかな空気が流れていた。

私と彼の複雑な関係を知っていたら"直ぐに叶う"なんて…有り得ないような事だけど、でも不思議とネビルの言葉には頷けたし、そうなるような気さえした。

ネビルのおかげで、私自身も不安に満ちていた心が少しばかり落ち着いた。そのせいか、私の口からは無意識に「ありがとう、ネビル」と言う声が出ていた。

ネビルはそれを聞くと、少し目を丸くし
「僕の方こそ」と言って、恥ずかしそうに笑った。
あなた
………?
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
どうかした?
ネビルと笑いあっている間、何かが上の方で動いたような気がした私は、ふと視線をそちらに向けた。

すると、絵画の奥からアリアナが歩いて来ている姿が目に入った。私は、その姿をネビルにも見てもらう為、その場に立ち上がり そのまま絵画を指さした。
あなた
見て、アリアナだわ
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
本当だ、アブが呼んでるのかも…
僕、ちょっと行ってくるよ
ネビル・ロングボトム
ネビル・ロングボトム
ここ任せてもいい?
あなた
えぇ、もちろん ((ニコッ
ネビルは「じゃあ、お願い」と言うと絵画の近くまで登り、アリアナに導かれるままホッグズ・ヘッドへと繋がる通路に向かった。
















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