第3話

3.お出かけ/②
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2018/03/25 08:42



勢いよく病室を蒼斗に連れられて出てきたが、
街中にくると蒼斗は歩幅を合わせてくれた。


……外の景色。
病院から見れる景色とは全然違う。



「あなた、着いたよ。チケット渡すね」



蒼斗ははい、と私にチケットを渡した。
映画のタイトルはホラーではなさそう。

よかった…。


蒼斗に連れられて映画館の中に入る。



「これってどういう映画なの?」

「続編物だけど、前編見てなくても楽しめる系」



蒼斗はニカッと笑って言った。

私が聞きたいのは、
どういうジャンルか…だったけど。



「あ、ちょっとまっててっ」

「…うん?」



急に、どっかに走っていってしまった蒼斗。
……どこに行ったんだろう。


数分経つと、蒼斗が色々抱えて戻ってきた。


「やっぱり映画のお供は必要だよなっ」


そう言って私に、
ポップコーンとドリンクを渡してきた。




「…カルピス?」

「え、あっ、ごめん!それじゃダメだった?」

「ううん、ありがと。…それよりいいの?こんなに…」

「いいのいいの、さっ、行こう」



蒼斗が私の手を引く。

上映ルームに入って、
しばらく色んなCMを見ると、
ついに私達が見る映画が上映された。


心配してたホラーものではなく、
ほのぼの系映画だった。

……なんだろう。
前編見たことがないはずなのに、
見たことがある気がする。

カルピスを一口飲むと、
余計なんだか懐かしい感じがした。



…記憶を失くす前にこの映画を見たのだろうか。










「あー、面白かったっ」


映画を見終えると、
蒼斗は満足そうに笑っていた。

…確かに面白かった。



「…そうだねっ」



私が笑っていうと、
蒼斗は驚いた顔をした。

驚くようなこと言ったかな…。

蒼斗はすぐに表情を戻し、
ニッと笑った。



「…笑った」

「え…っ」

「少なくとも、俺と会ってから笑った所あまり見てなかったし、戸惑ってる顔ばかり。まぁ、俺が悪いんだけどねっ」



確かに、蒼斗と出会って戸惑うことの方が多かった。

…それでも、
その戸惑い全てが楽しく感じられた。



なんで…蒼斗は私なんかにこんなに優しくしてくれるんだろう。


「俺と付き合って」なんて言われたけど、
面識のない私の性格も知らず、
病院の個室の中だから、顔も合わせたことがない。

…そんな私に、蒼斗はどうして…。





「お昼、どこ行きたい?」

「えっ…あっ、蒼斗に任せるよっ」




すっかり自分の世界に入り込んでしまってた。

…気になることはたくさんあるけど、
今は、あんまり考えないでおこう。



「じゃあ、俺のお気に入りの所行こっかっ」



蒼斗はそう言うと、
再び歩き出した。

私も蒼斗に合わせて歩き出す。

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