第2話

2.お出かけ/①
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2018/03/23 11:06


次の日も蒼斗は私の所へやってきた。





「やっほ、あなた。で、俺と付き合う気になってくれた?」

「……」

「やっぱそうだよね~、じゃあもっと俺のこと知ってよ」




……え?

蒼斗はそう言うと私にグッと近づいてきた。
あまりに突然の事で目を瞑ってしまう。


その時、私の手に何かが触れる感覚がした。


少しずつ目を開けると、
私の視界に入ってきたものは紙袋だった。




「……これは?」

「それに着替えて、俺とデートしよっ?」



紙袋の中を見ると、
派手すぎない可愛らしい服が入っていた。



「……えっ、でも…」

「ねっ、じゃあ俺一旦ここ出ていくから着替えておいてね?」



それだけ言うと、蒼斗は出ていってしまった。
……いきなりすぎる。




紙袋から服を取り出す。




改めて見ると本当に可愛い服。
…ここに来てからオシャレとかあまり考えなかったな。

思い切って、蒼斗から貰った服を着てみる。

サイズは驚くほどピッタリで、
着心地も良い服だった。




「……ん、似合ってる」

「……えっ、そ、蒼斗!」



気づくと、蒼斗が病室のドアに寄りかかっていた。



「……見てた?」

「な、見てないよっ!そろそろかなと思って入ってきちゃった」



蒼斗は目を手で隠す素振りを見せた。
…もう、着替え終わったのに。



「も、もう着替え終わったよ」

「そっかっ、じゃあ行こ!」




蒼斗は私の腕を掴み、走り出そうとした。



「ち、ちょっと待って…!」

「ん」



ん、じゃなくて、
どこに行くかもわからないし、
まだ外出の許可も得てないのに…。


その様子に察したのか、
蒼斗は「あぁ」と言って笑った。



「大丈夫だよ、あなた。俺があなたの知り合いって言って外出許可貰ったし」

「そ、そっか…。で、どこ行くの…?」

「んー、俺的には遊園地がいいとか思ったんだけど、流石に刺激的すぎるかなって、だからこれっ」



蒼斗はヒラリと映画のチケットを2枚見せてきた。
…映画。
記憶をなくす前、自分がどんな映画を好きだったかも分からない。

もし、ホラーとかだったらどうしよう…。



「説明も済んだし、よし、じゃあ行こっ」



そんな心配を察することもなく、
蒼斗は、掴んだ私の腕をそのまま引っ張り
私は半ば強引に蒼斗に病室から連れ出された。

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